恩寵用語Ps93
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詩93篇「王となる」 מָלַךְマーラフ
〔カテゴリー統治〕
1節「主は、王であられ、みいつをまとっておられる。」(新改訳)
1節「主こそ王。・・」 (新共同訳)
Keyword;「王として支配する、統治する」 reign, to be king, to rule, to make king
47:8/93:1/96:10/97:1/99:1/146:10
- 新改訳、新共同訳では「王」「王であられ」とは、一見、名詞のようにみえますが、実は動詞が使われています。NIV訳ではreigns つまり、主が王として支配する、統治する、君臨するという意味です。
- 旧約では動詞のマーラフמָלַךְ(malakh) は347回、詩篇ではわずかに6回です。しかし、すべて神に対して用いられています。ちなみに、名詞形の「王」メレフמֶלֶךְ(melekh)は旧約全体で2,523回、詩篇で神が王(King)として用いられているのは22回です。「王国 kingdom」マルフートמַלְכוּת(malkhut)は旧約で91回、詩篇は6回(45:6/103:19/145:11, 12, 13, 13)です。
- ところで、神が王として支配されることがなぜ恩寵なのかといえば、それは他の国々のように専制君主的な王ではなく、ご自身の民に対して、いつくしみと公正と正義をもって治められるからです。詩93篇では王の風格について語られていますが、「王国」(kingdom)という語彙が最も多く登場している詩145篇では、「私の神、王よ。わたしはあなたをあがめます」(1節)と個人的に告白され、この王国の統治の特徴がいかなるものであるかをよく言い表しています。たとえば、
8節「主は情け深く、あわれみ深く、怒るのにおそく、恵みに富んでおられます。
主はすべてのものにいつくしみ深く、そのあわれみは造られた者の上にあります。」
14節「主は倒れる者をみなささえ、かがんでいる者をみな起こされます。」
15節「すべての者は、あなたを待ち望んでいます。あなたは時にかなって、彼らに食物を与えられます。」
16節では「あなたは御手を開き、すべての生けるものの願いを満たされます。」
18節「主を呼び求める者すべて、まことをもって主を呼び求める者すべてに主は近くあられる。」
20節「すべて主を愛する者は主が守られる。」
- 王の統治は「すべてのものに」、「みな」、「すべて」に及ぶことが印象的です。しかもその王国は、永遠にわたる王国、輝かしい栄光の王国として、その統治が代々限りなく続きます。キリストこそ私たちの永遠の王の王です。この方の統治は私たちにとってこの上なく喜びとなるのです。