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詩27篇の修辞

詩27篇の修辞 「光」という暗喩


主は、私の光、私の救い。だれを私は恐れよう。
主は、私のいのちのとりで、だれを私はこわがろう。(27:1)

  • 詩篇27篇における特異な表現として、主は、「私の光」、「いのちのとりで」(いずれも27:1)です。どちらもこの詩篇にしか出てこない表現です。
  • 1節は明らかに同義的並行法です。1節の前半が後半で言い換えられています。つまり、「私の光」と「私の救い」が「私のいのちのとりで」と換言されています。また、前半の「私の光」は「私の救い」と同義です。
  • 「光」(オール)については、詩篇4篇でも「御顔の光」ですでに取り上げていまが、ここでは「光」ということばだけに焦点を当ててみたいと思います。詩篇から「光」について言及されている箇所を引用します。ただし、「御顔の光」については除きます。「御顔の光」については
    こちらを参照してください。

詩 36:9
いのちの泉はあなたにあり、私たちは、あなたの光のうちに光を見るからです。

「いのちの泉」と「光」の源泉は同義です。


詩 43:3
どうか、あなたの光とまことを送り、私を導いてください。

「光」と「まこと」がワンセットで使われています。


詩 50:2
麗しさの窮み、シオンから、神は光を放たれた。

「光」が放たれる場所は、シオン。


詩 56:13
あなたは、私のいのちを死から、まことに私の足を、つまずきから、救い出してくださいました。それは、私が、いのちの光のうちに、神の御前を歩むためでした。

「いのちを死から救い出すこと」は、「いのちの光のうち(神の御前)を歩むこと」と同義です。


詩 78:14
神は、昼は雲をもって、彼らを導き、夜は、夜通し炎の光で彼らを導いた。

夜(闇)を照らして導く「光」


詩 80:1
イスラエルの牧者よ。聞いてください。ヨセフを羊の群れのように導かれる方よ。光を放ってください。ケルビムの上の御座に着いておられる方よ。


詩 97:11
光は、正しい者のために、種のように蒔かれている。喜びは、心の直ぐな人のために。

「光」と「喜び」が同義。


詩 104:2
あなたは光を衣のように着、天を、幕のように広げておられます。

  • 覆いとしての「光」

詩 112:4
主は直ぐな人たちのために、光をやみの中に輝かす。主は情け深く、あわれみ深く、正しくあられる。

闇の中に輝く「光」。闇を照らす「光」。「光」は「情け深さ、憐れみ、正義」と同義。


あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です。

歩みと導きの「光」


詩 119:130
みことばの戸が開くと、光が差し込み、わきまえのない者に悟りを与えます。

  • 悟りを与える「光」

詩 136:7
大いなる光を造られた方に。その恵みはとこしえまで。

「光をあれ」と、偉大なる「光」を私たちのために造られた神



  • 聖書の「光」は、光源としての「光」ではなく、本来的には「かかわりの概念」です。つまり、「神の愛」と深く結びついています。「光」は「神の愛」と同義と言っても過言ではありません。旧約聖書の「愛」は「ヘセド」。不変の愛、確固とした愛、揺るぐことのない愛を意味します。「ヘセド」に対応する新約聖書の「愛」は「アガペー」です。無条件の愛、打算のない完全な愛を意味します。「天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ・・・てくださる」完全な愛のお方であることを御子イエスは語られました。
  • 詩篇36:9の「私たちは、あなたの光のうちに光を見る」とは、ヨハネの手紙第一の「神は愛です。愛のうちいる者は神のうちにおり、神もその人のうちにおられます。・・私たちは愛しています。神がまず私たちを愛してくださったからです。」(4:16、19)と同義と言えます。
  • ダビデは敵(特にサウル王)の不条理な恐れと苦難に会いました。しかし、ダビデがそうした恐れと苦難に屈しなかったのは、主の愛の光の中にとどまっていたからです。それが彼の「救い」となり、「いのちのとりで」となりました。「愛には恐れがありません。全き愛は恐れを締め出します。」(ヨハネの手紙第一、4:18)とあるように、神の確かな愛の中にとどまることができるなら、「恐れ」から解放されます。その秘訣は、27篇の表現でいうならば「ただ一つのこと」、すなわち「主の家に住む(とどまる)」ことです。どんな状況の中にあっても恐れることなく、また希望と将来を待ち望みながら生きていく力が与えられることを、この詩27篇は教えてくれています。

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