****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

背教が起こって、不法の者が現われなければ・・

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8. 背教が起こって、不法の者が現われなければ・・

【聖書箇所】Ⅱテサロニケ 2章1~17節

ベレーシート

  • パズルのピースが多ければ多いほど、それを組み合わせるのに苦労するように、「終わりの日」に関する情報と知識が多いと混乱を引き起こすことも事実です。特に、キリストの再臨をめぐってこれまでも多くの教会が惑わされて、教会が分裂したり、あるいは過敏になりすぎて、この大切な教えを語るのを避けている教会もある程です。「キリストの再臨」はサタンが最も嫌う出来事であるために、霊的混乱が教会にもたらされることは避けられません。しかしそうした中にあっても、思慮深い人々は悟る(ダニエル12:10)ようになるのです。
  • キリストの地上再臨の前には反キリストによる大患難があります。そのことを聖書は「主の日が来る」としています。使徒パウロもテサロニケ教会でそのことを「よく話していた」のですが、ある者たちはそのことを忘れたのか、「主の日がすでに来たかのように」言う者が現われたのです。そのために使徒パウロはテサロニケの教会に対して第二の手紙を書く必要がありました。したがって第二の手紙の2章は、この手紙の中心的な内容であるという事になります。

1. 「主の日」とは

  • 旧約聖書には「見よ。主の日が来る」という表現が多くあります。新約聖書では6回(Ⅰコリント5:5、Ⅰテサロニケ5:2、Ⅱテサロニケ2:2, 3、Ⅱペテロ3:10、黙示1:10)。「主の日」とは、キリストの地上再臨の前に起こる反キリストによる大患難期のことです。「反キリスト」(「アンチクリストス」ἀντίχριστος)という表現はヨハネが手紙の中で使っているもので、ヨハネによれば「イェシュアがメシアであることを否認する者」、あるいは「御父と御子を否認する者」としています。使徒パウロはこの「反キリスト」のことを「不法の人」(=神の権威に従わない者=破滅に定められた者という意味で「滅びの子」)と呼んでいます。イェシュア自身はこの反キリストのことを、ダニエルが預言したことば、つまり「荒らす憎むべき者」と呼んでいます(マタイ24:15)。ちなみに、黙示録では(42ヶ月間の活動の権威を与えられた)「獣」とも呼ばれています(黙示録13:5~6)。
  • 使徒パウロは、「主の日」に先立って「背教が起こる」としています。「背教」(「アポスタシア」ἀποστασία)はⅡテサロニケ2章3節にしか使われていない語彙です。「背教」と訳されていますが、本当は「出発」(departure)という意味です。Ⅰテサロニケの4章17節でパウロは「ハルパゾー」(ἁρπάζω一挙に引き上げられ」)と言っていました。「アポスタシア」も「ハルパゾー」も同義なのです。ですから、パウロの以下のことばをしっかりと心に刻む必要があります。

【新改訳改訂第3版】Ⅱテサロニケ2章3~4節
3 だれにも、どのようにも、だまされないようにしなさい。なぜなら、まず背教(=出発、携挙)が起こり、不法の人(反キリスト)、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日(大患難)は来ないからです。
4 彼は、すべて神と呼ばれるもの、また礼拝されるものに反抗し、その上に自分を高く上げ、神の宮の中に座を設け、自分こそ神であると宣言します。

  • 「主の日」は世の終わりの前兆のひとつなのです。ただしこの時、教会はすでにこの地上にはありません。すでにキリストの空中再臨によって携挙されています(Ⅰテサロニケ4:13~18)。それでも私たちが患難時代のことについて知らなければならないのは、私たちがさまざまな教えに惑わされて、心を騒がせたりしないためです。
  • 「不法の人」は神の定められた時に現れますが、今それを引き止めているのが「教会=聖霊」の存在です。しかし教会が携挙されれば、引き止めるものがなくなり、「不法の人」が現れます。その現れがいつなのかは、教会がいつ携挙されるか分からないと同様に、分かりません。しかし必ず「現れる」のです。それが神のご計画だからです。

    【新改訳2017】Ⅰヨハネの手紙3章2~3節
    2 愛する者たち、私たちは今すでに神の子どもです。やがてどのようになるのか、まだ明らかにされていません。しかし、私たちは、キリストが現れたとき(=携挙されたとき)に、キリストに似た者になることは知っています。キリストをありのままに見るからです。
    3 キリストにこの望みを置いている者はみな、キリストが清い方であるように、自分を清くします。

  • 「主の日」はきわめて恐ろしい日です。その日の到来の目的は、以下に述べるように三つあります。

(1) メシア王国に備えて、この地上から「そむき・罪・咎」を一掃するためです。「不法の人」も主の再臨によって完全に滅ぼされます。

(2) 「二人の証人」と「14万4千人のユダヤ人」によって、御国の福音が全世界に宣べ伝えられて、すべての国民にあかしされるためです(マタイ24:14)。このことによって、ユダヤ人のみならず多くの異邦人が救われるという世界規模のリバイバルが訪れます。しかしその多くが反キリストによって殉教を余儀なくされます。

(3) イスラエルの民が地の四方(全世界)から集められて、イスラエルに対する神の最終的な取り扱いとしての民族的回心が起こるため。


2. 「堅く立って・・守りなさい」との勧告的命令

  • パウロはテサロニケ教会の人々に対して、「兄弟たち。堅く立って、私たちのことば、または手紙によって教えられた言い伝えを守りなさい。」(2:15)と勧告しています。「堅く立って」も「守りなさい」も命令の現在形です。つまり、「堅く立ち続けなさい」「守り続けなさい」という意味です。「堅く立つ」とはパウロが愛用する表現ですが、ここでは神のご計画の鳥瞰的視点・終末論的視点に「堅く立ち続ける」ことが命じられているように思います。
  • 神のご計画(マスタープラン)を知ることは、「終わりの日」のことについてのさまざまな情報を吟味できるだけでなく、「落ち着きを失ったり、心を騒がせたり」することから守られます。やがて訪れる「主の日」には、教会に対するご計画とは異なる神の目的があるのです。このことを知るだけでも、キリストの花嫁のなすべきことが見えてきます。つまり、それは花婿なるキリストに対して純潔を保ちながら、花婿のことを慕い求め、その方が迎えに来ることをひたすら待ち望むことです。それゆえ、パウロの以下の祈りが際立ちます。

【新改訳改訂第3版】Ⅱテサロニケ2章16~17節
16 どうか、私たちの主イエス・キリストと、私たちの父なる神、すなわち、私たちを愛し、恵みによって永遠の慰めとすばらしい望みとを与えてくださった方ご自身が、
17 あらゆる良いわざとことばとに進むよう、あなたがたの心を慰め、強めてくださいますように。


●付記1

アミール・ツァルファティによれば、反キリストに関して根拠は、
1. 世界支配との接点
2. イスラエルの平和との接点
3. エルサレムの神殿との接点
この三つ接点が交わるときこそ、反キリストの出現の時だとしています。教会に属する者はその前に携挙するため、見ることはできません。

●付記2

2015.10.6


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