恩寵用語Ps25(1)
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詩25篇(1)「教える」 יָרָה ヤーラー
〔カテゴリー育成〕
8節「主は、いつくしみ深く、正しくあられる。それゆえ、罪人に道を教えられる。」
12節「主を恐れる人は、だれか。主はその人に選ぶべき道を教えられる。」
Keyword; 「教える、示す」teach, instruct, 25:8, 12/27:11/32:8/45:4/86:11/119:33, 102
- 「教えられる」と訳された「ヤーラー」(יָרָה)の本来の意味は大きく二つあります。ひとつは「投げる」「投げ込む」「(矢を)射る」という意味。次に「雨(初めの雨)を降らせる」「教える」「指示する」「方向付ける」「示す」という意味があります。旧約では46回、詩篇は8回です。
- 「ヤーラー」(יָרָה)から派生したことば(名詞)として次のようなものがあります。
①「ヨーレー」(יוֹרֶה)
10月の終わり頃から12月の初め頃に降る「初めの雨」。
②「モーレー」(מוֹרֶה)・ 教師 teacher.
③「トーラー」(תּוֹרָה)・・律法、おしえ law
- 詩25篇8, 12節では、教える内容がいずれも「道」デレフדֶרֶךְ(derekh)です。ここで意味する「道」とは、主がなされた救いのみわざとその理解、また、主と神の民とのあるべきかかわりを示すすべての領域における事柄(トーラー)を含んでいます。主なる神はそれをモーセに教え(啓示)、モーセは民たちに教えました。また、祭司や預言者、やがては律法の教師たち、および、家長たちにとっても「教え、導く」ことはきわめて重要な職務でした。神の民にとって「主の道」を学ぶことは、自分たちのアイデンティティをもって生きるために必要不可欠なものでした。それゆえ、神の民はいつでも教えられやすい従順な心が求められました。
- 日本でも「○○道」という生き方につながる精神修養の道があります。スポーツの領域では剣道、柔道、武道、弓道、かかわりの世界では茶道、華道、香道、書道・・など。それぞれの道をきわめるには、師範の教えを受け、学ぶという多くの時間と修練を要しました。このことは、神の民イスラエルが聖なる民としての「道」を歩むためにも同様でした。詩25篇8, 12節には、罪人に対しても、主を恐れる者に対しても、主がそのいつくしみのゆえに「道」を教えられると述べられています。
- イザヤ書30章にはやがて終りの日に、神自ら最高の教師として姿を表わすことが預言されています。「・・あなたの教師はもう隠れることなく、あなたの目はあなたの教師を見続けよう。あなたが右に行くにも、左に行くにも、あなたの耳はうしろから『これが道だ。これに歩め』と言うことばを聞く」と(20~22節)。
- 事実、イエス・キリストがその最高の教師として遣わされました。イエスは言われました。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはできません。」(14:6)と。イエスご自身が「道」ですが、その教えの源泉は御父であられたことも忘れてはならない事実です。