主の日には、シオンの山は聖地となる
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2. 主の日には、シオンの山は聖地となる
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【聖書箇所】オバデヤ書1章15〜21節
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- 15節で「主の日はすべての国々の上に近づいている。」と宣言されます。「主の日」とは「終わりの日」における神の審判の時です。その時にはすべてが逆転します。エドムの破滅の日が、ユダの救いの日となるからです。ユダとイスラエル(ヨセフの家)の二つの王国は再びメシアによって回復されます。そして、この地上において「王権は主のもの」(21節)というメシア王国が到来します。
1. あなたがしたように、あなたにもされる
- ここで語られている「あなた」とはエサウの子孫であるエドム人のことです。かつて、バビロンによってユダが滅びたときに、エドム人はその兄弟関係にあるユダに対してきわめて卑怯な行為(略奪と殺人)をしたように、あなたも同じようにされると預言されています(15節)。
【新改訳改訂第3版】オバデヤ書 18節
ヤコブの家は火となり、ヨセフの家は炎となり、エサウの家は刈り株となる。火と炎はわらに燃えつき、これを焼き尽くし、エサウの家には生き残る者がいなくなる、と【主】は告げられた。
●「ヤコブの家」とは南ユダ、「ヨセフの家」とは北イスラエルを示唆します。ヤコブの火とヨセフの炎によって、「エサウの家」、つまりエドムは焼き尽くされ「生き残る者がいなくなる」とあるように、打ち負かされるだけでなく、その領地をも奪われるのです。
●「生き残る者」と訳された原語は「サーリード」(שָׂרִיד)です。集合名詞として単数形で表わされます。旧約では31回使われています。オバデヤ書では2回、14節と18節に使われています。英語では「レムナント」(remnant)と訳されます。
●「サーリード」は男性名詞ですが、女性名詞では「シェエーリート」(שְׁאֵרִית)となります。66回の使用頻度ですが、たとえばその中の一箇所であるミカ書2章12節にはこう記されています。
【新改訳改訂第3版】
ヤコブよ。わたしはあなたをことごとく必ず集める。わたしはイスラエルの残りの者を必ず集める。わたしは彼らを、おりの中の羊のように、牧場の中の群れのように一つに集める。こうして人々のざわめきが起ころう。●レムナント思想はイザヤ書においては最も重要な思想の一つです。罪の深さから見るなら、ソドムとゴモラと何ら変わらないイスラエルの民が、主の一方的な恩寵によって滅びの運命から救われ、残されるということです。例えば、
【新改訳改訂第3版】イザヤ書46章3節
わたしに聞け、ヤコブの家と、イスラエルの家のすべての残りの者よ。胎内にいる時からになわれており、生まれる前から運ばれた者よ。●レムナント思想は基本的には神の民イスラエルに対してのものですが、やがて諸国の民の中にも、神のあわれみのしるしとしてそのような残される者たちがいることが明らかになるのです。
●14節ではバビロンの手から逃れ出た「生き残った者」をエドムは殺害しました。その報復として、主の日にはエドムには「生き残る者」がいなくなるのです。なぜなら、詩篇137篇の作者の祈りが聞かれるからです(137:7)。これが神のさばきとしての報復です。
2. メシア王国の領域
- このことについては、新共同訳を参照します。というのは、新改訳では地を所有する主体が明確ではないからです。
【新共同訳】オバデヤ書19~20節
19 彼らは、ネゲブとエサウの山、シェフェラとペリシテ人の地を所有し、またエフライムの野とサマリアの野、ベニヤミンとギレアドを所有する。 20 捕囚となったイスラエル人の軍団は、カナン人の地をサレプタまで所有する。捕囚となった、セファラドにいるエルサレムの人々は、ネゲブの町々を所有する。
●19節冒頭の「彼ら」とは、ユダ、および北イスラエルの民のことです。やがて彼らがメシア王国において所有する場所が19~20節に記されています。「所有する」と訳された「ヤーラシュ」(יָרַשׁ)が何度も繰り返されています。この語彙はヨシュア記の鍵語です。
- エルサレム(聖地であるシオンの山)を中心とするとき、イスラエルの領土は南北に拡大しています。
南の地・・ネゲブとエサウの山
西南の低地・・ペリシテ人の国
北・・・エフライムの平野、サマリヤの平野、
北東・・ギルアド(ギルアデ)
北・・サレプタまでの海岸線
- ちなみに、エゼキエル書によれば、エルサレムを中心として北と南に新しいパターンによって、ほぼ均等に配分されます。全体の中心は神殿のある特別区です。そこには神殿と祭司たち、レビ人の住む場所があり、また「町」と言われる共有地があります。
וְהָיְתָה לַיהוה הַמְּלוּכָה
ー王国は主のものとなるー
2015.5.29
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