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オバデヤ書の瞑想を始めるに当たって

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0. オバデヤ書の瞑想を始めるに当たって

ベレーシート

  • 旧約聖書(39巻)の中で最も短い書と言えば、それは「オバデヤ書」。新約聖書(29巻)の中で最も短い書と言えば、それは「ピレモンへの手紙」。では、「オバデヤ書」と「ピレモンへの手紙」ではどちらが短いのかと言えば、それは実際に自分で聖書を開いて見る必要があります。一方はヘブル語で、他方はギリシア語ですから、語彙の分量を見比べてみなければ判断は下せません。
  • たとい短くとも、そこには神の御計画の全貌がはっきりと語られています。「少量の塩でも味全体を決めてしまう」ように、オバデヤ書は最小の中に最高のものを有している偉大な書と言えます。そのオバデヤ書の重要な使信とは、反ユダヤ主義のルーツとそれに対する神のさばきです。これはいつの時代にあっても起こってくる今日的問題として適用できるメッセージです。旧約聖書は、神がご自身のご計画の担い手として選んだイスラエルの民とのかかわりを記していますが、そのイスラエルの民に対する諸国のかかわりを最終的に神がどのようにさばかれるのか、その原則がオバデヤ書に記されています。
  • 「主のしもべ」を意味する「オバデヤ」(「オーヴァドゥヤー」עֹבַדְיָה)が預言した対象はエドム人です。エドム人はヤコブの兄エサウの子孫です。エサウの子孫の系図は創世記36章に記されています。

1. エサウの系図(エドムはエサウの子孫の総称)


エドムの子孫

画像の説明
  • エサウの子孫の中で、特に注目すべきは、黄色でマークした「アマレク」です。アマレクは父エリファズの正妻の子どもが5人もいる中で、父のそばめであった母ティムナから生まれたことになります。こうした家庭環境がアマレクに対して与えた影響は大きかったのではないかと推察します。エジプトを脱出したイスラエルの民が、荒野ではじめて戦ったのがこのアマレク人でした。アマレクの母ティムナはセイルの長子ロタンの妹に当たります。つまり、このアマレクが「エサウの子孫」と「セイルの子孫」とを結ぶつなぎの役をしているのです。そもそもエサウの長子のエリファズがなぜティムナを自分のそばめとしたのか、その説明は記されていませんが、セイルとの政略的なかかわりを持つためであったのかもしれません。

2. カイン、イシュマエル、エサウに流れる霊性

兄と弟.JPG
  • 右の図は、三対の「兄と弟」とそこに隠されている象徴的な意味が啓示されています。兄の系列は、生まれながらの人間の「肉」そのものを代表しており、弟の系列は同じ罪人であったとしても、神にある「いのち」にあずかった者を代表しています。

(1) カイン
●カインは農耕文化の代表であり、地の産物はのろいのもとにあります。神に頼らずに、自分で地を耕し、自分の町を建て、自分の力で文化を創造する代表と言えます。それは、アベルを代表とする贖罪に対する反感の心の代表とも言えます。

(2) イシュマエル
●使徒パウロがガラテヤ書の中で、「かつて肉によって生まれた者が、御霊によって生まれた者を迫害したように、今も(そのとおりです)」と記していますが、「肉によって生まれた者」の代表的存在はイシュマエルです。「御霊によって生まれた者」とは約束の子イサクのことを示唆しています。イシュマエルは今日のパレスチナ(アラブ諸国)のルーツであり、イシュマエルとイサクとは同じ父(アブラハム)を持っているにもかかわらず、根深い敵対関係の中にあります。

(3) エサウ
●この系列は、天にある霊的な事柄を軽蔑し、将来与えられる約束よりも現在手に入る地上的なものを重んじる性質をもった代表と言えます。このエサウの子孫がエドム人となり、ヤコブ(イスラエル)に対する凶悪な存在となります。


3. 幼子イェシュアを殺害しようとしたヘロデはイドマヤ出身

  • エドム(אֱדוֹם)=イドマヤ。「イドマヤ」(エドムのギリシア音写=Ἰδουμαία)の地名は、ユダヤおよび死海の南方、主としてエサウの子孫であるエドム人が居住した山岳地帯を指します(参照ヨシュア15:1,21)。従来、エドム人はイスラエルと仲が悪く、南王国ユダの滅亡(前586年)のときはそれを喜んだのです(詩篇137:7、エゼキエル35:15/36:5)。中間時代にローマのユリウス・カイザルの支持を取りつけたイドマヤ人アンティパテル2世は行政長官としてユダヤ、サマリヤ、ガリラヤを統治します(前47年以降)。その後、彼の息子はユダヤの王に任じられて、ヘロデ大王と呼ばれるようになりました(前37―4年在位、参照マタイ2:1~22、ルカ1:5)。彼は幼子イェシュアの殺害を図った王です。


2015.5.27


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