****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

Ⅰ・Ⅱテサロニケの手紙の瞑想を始めるに当たって

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0. Ⅰ・Ⅱテサロニケの手紙の瞑想を始めるに当たって

ベレーシート

  • 今年初めてもたれた当教会の8日間にわたる「セレブレイト・スッコート」の午前中のプログラムにおいて、「テサロニケ人への手紙」の瞑想を試みました。その理由は、この手紙が主の再臨について多く触れているからです。その背景として、パウロが「御国の福音」を語っていたことがおのずと分かります。なぜなら、「御国の福音」は、主なるイェシュアの再臨によって実現(成就)される良き知らせだからです。テサロニケ人への手紙、第一、第二の瞑想を通して、今日に生きる私たちにも、大きな慰めと希望が与えられると信じます。

画像の説明

1. 第二次伝道旅行の初穂としてのピリピ教会

  • テサロニケの教会はパウロの第二次伝道旅行の時に誕生した教会です。アジア伝道を考えていたパウロの思いとは異なり、主はマケドニヤへ導かれました。その証拠に、マケドニヤ地方の第一の町での幾日かの滞在期間中、安息日に門の外の「祈り場」があると思われる川岸に行き、そこに集まっていた女たちに福音を語ったとき、そこに初穂となるテアテラ市の紫布の商人で神を敬うルデヤがいたのです。「主は彼女の心を開いて、パウロの語る事に心を留めるようにされた」とあります(使徒16:14)。
  • 不思議な神の導きです。ルデヤがパウロによって語られることに関心を持つ(寄せる、抱く)ように、主が彼女の心を開かれたということです。パウロが語るのを祈り場に集まった婦人たちも聞いていたはずですが、重要なことは、その中でただひとりルデヤの心に、主が働かれたということなのです。その理由は秘義ですが、出会いの背後に主の不思議な御計画が隠されています。出会いの神秘です。
  • 「ルデヤ」という個人名の記載は、使徒16:14, 40の2箇所のみです。英語ではLydia、ギリシア語ではΛυδία、ヘブル語ではלִידְיָהと表記されます。ヘブル語による「ルデヤ」は、「~で」という場所を表す前置詞の「レ」(ל)と、「手」、あるいは「川のほとり」を意味する「ヤード」(יָד)、そして「主」を意味する「ヤー」(יָה)が合成された名前です。彼女が祈り場のある「川岸」に出かけてそこでパウロの語ることに耳を傾けたことで、彼女の心が開かれますが、それは主がそうさせたのです。「ルデヤ」という名前は、「主が川のほとりで」という意味なのです。回心した彼女とその家族はパウロの宣教の働きを経済的にサポートして行きますが、その彼女の名前には、祈り場のあった「川岸で」、主の不思議な導きを受けるという預言的な名前だったと言えます。
  • ルデヤは、「私を主に忠実な者とお思いでしたら、どうか、私の家に来てお泊まりください」と言って頼み、強いてそうさせたとあります。「強いてそうさせた」(「パラビアゾマイ」παραβιάζομαι)は「強引に、強要する、無理やりに」の意。παραβιάζομαιπαραは「~を越え」、βιάζομαιは「押しつける、無理に承知させる」ことです。彼女の発言は、主を知り、主の福音にあずかった者として、自分がさらに深く主について知り、主のために何か意味のあることをしたいという強い意志が彼女のうちに起こったことを伺わせます。彼女はなぜか家長的な立場にあると同時に、「紫布の商人」という事業家でもありました。このことも考え合わせると、彼女がパウロの一向にした行為は理解することができます。ちなみに、「強いてそうさせた」は、新約聖書では2回しか使われていません。いずれもルカが使っていますが、福音書の24章29節では、エマオの二人の弟子がイェシュアを無理に引き止めて泊まってもらうように懇願します。さらに深くかかわりを持って、聖書の話をもっと聞きたいと思ったからです。
  • ピリピではルデヤとその家族、また、看守とその家族が救われて教会が誕生し、パウロの宣教を経済的な面からサポートして行く教会となりました。神に導かれてのヨーロッパでの第二次伝道旅行の初穂は、ルデヤの家を中心とした教会だったのです。

2. マケドニヤ、アカヤで模範的教会となったテサロニケ教会

  • ピリピで教会が誕生した後で、パウロの一行はテサロニケに向かいます。そこにはユダヤ人の会堂があり、そこに入って三週間にわたり、パウロはイェシュアがキリスト(メシア)であることを聖書に基づいて説明し、論証しました。その結果、ユダヤ人の幾人かはそのことをよく理解して信じたようです。またそのほかにも、神を敬うギリシア人の大勢が信じたようです。
  • ところが、問題が起こりました。パウロの一向を家に迎え入れたヤソンが、ねたみにかられたユダヤ人の陰謀により迫害を受けます。そのためにパウロの一行は急遽、その日のうちに、強引に引き裂かれるようにしてその町から出ることを余儀なくされてしまいました。テサロニケでの働きはわずか三週間という短い期間であったにもかかわらず、そこに模範的な教会が建て上げられたのは、パウロたちにとっても想定外のことであったと思います。急激な成長を遂げた教会はすばらしい面があると同時に、ある種の危うさをも合わせ持っています。それゆえに、パウロには少なからぬ心配があったようです。
  • コリントの地から送られたテサロニケ教会宛の手紙を通して、使徒パウロたちがどのような福音を語ったのか、そしてどのような面においてテサロニケ教会が模範的な教会となったのかを伺い知ることができます。特に、主の再臨(「パルーシア」παρουσία)についての教えがこの手紙においてはきわめて顕著なのです。

3. 主の来臨(再臨)を待ち望むテサロニケ教会

  • テサロニケの教会の特長は主の再臨についての教えが随所に見られることです。

(1) 【新改訳改訂第3版】Ⅰテサロニケ 1章10節
また、神が死者の中からよみがえらせなさった御子、すなわち、やがて来る御怒りから私たちを救い出してくださるイエスが天から来られる(意訳=原文にはない)のを待ち望むようになったか、それらのことは他の人々が言い広めているのです。


(2) 【新改訳改訂第3版】Ⅰテサロニケ 2章19節
私たちの主イエスが再び来られる(παρουσία)とき、御前で私たちの望み、喜び、誇りの冠となるのはだれでしょう。あなたがたではありませんか。


(3) 【新改訳改訂第3版】Ⅰテサロニケ 3章13節
また、あなたがたの心を強め、私たちの主イエスがご自分のすべての聖徒とともに再び来られる(παρουσία)とき、私たちの父なる神の御前で、聖く、責められるところのない者としてくださいますように。


(4) 【新改訳改訂第3版】Ⅰテサロニケ 4章14~17節
14 私たちはイエスが死んで復活されたことを信じています。それならば、神はまたそのように、イエスにあって眠った人々をイエスといっしょに連れて来られる(ἄγω)はずです。
15 私たちは主のみことばのとおりに言いますが、主が再び来られるときまで生き残っている私たちが、死んでいる人々に優先するようなことは決してありません。
16 主は、号令と、御使いのかしらの声と、神のラッパの響きのうちに、ご自身天から下って来られます(καταβαίνω)。それからキリストにある死者が、まず初めによみがえり、
17 次に、生き残っている私たちが、たちまち彼らといっしょに雲の中に一挙に引き上げられ、空中で主と会うのです。このようにして、私たちは、いつまでも主とともにいることになります。


(5) 【新改訳改訂第3版】Ⅰテサロニケ 5章23節
平和の神ご自身が、あなたがたを全く聖なるものとしてくださいますように。主イエス・キリストの来臨(παρουσία)のとき、責められるところのないように、あなたがたの霊、たましい、からだが完全に守られますように。


(6) 【新改訳改訂第3版】Ⅱテサロニケ 1章7節
苦しめられているあなたがたには、私たちとともに、報いとして安息を与えてくださることは、神にとって正しいことなのです。そのことは、主イエスが、炎の中に、力ある御使いたちを従えて天から現れる(ἀποκάλυψις)ときに起こります。


(7) 【新改訳改訂第3版】Ⅱテサロニケ 1章10節
その日に、主イエスは来られて(ἔρχομαι)、ご自分の聖徒たちによって栄光を受け、信じたすべての者の──そうです。あなたがたに対する私たちの証言は、信じられたのです──感嘆の的となられます。


(8) 【新改訳改訂第3版】Ⅱテサロニケ 2章1節
さて兄弟たちよ。私たちの主イエス・キリストが再び来られること(παρουσία)と、私たちが主のみもとに集められること'に関して、あなたがたにお願いすることがあります。


(9) 【新改訳改訂第3版】Ⅱテサロニケ 2章8節
その時になると、不法の人が現れますが、主は御口の息をもって彼を殺し、来臨(παρουσία)の輝きをもって滅ぼしてしまわれます。


●主の来臨、再臨、現われ(啓示)に使われている語彙は以下の通りです。①~③は名詞、④~⑤は動詞です。
①「来臨」・・・・・「エルコマイ」(ἔρχομαι)
②「再臨」・・・・・「パルーシア」(παρουσία)
③「現われ」・・・・「アポカリュプシス」(ἀποκάλυψις)
④「連れてくる」・・「アゴー」(ἄγω)
⑤「降りて来る」・・「カタバイノー」(καταβαίνω)

●イェシュアの「地上再臨」が語られているのは、(9)のみです。


2015.10.7


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