士師記
聖書を横に読むの目次
8. 「士師記」の瞑想
はじめに
- ヨシュアに続く次の時代は士師たちの時代です。約束の地カナンを占領してから、やがてイスラエルの王制の時代に向かうまでの約200年間の時代が扱われます。BC1200~1000年の時期に当たります。
士師記の主題は「臨戦意識の有無による勝敗」
(1) 臨戦意識とは、神の約束によって与えられたカナンの地において「わな」となるものを完全に追い払っていくという敵前感をもった危機意識です。ヨシュアが晩年イスラエルの民に訴えようとしたことは「妥協による敗北」の危険でした。もし妥協するならば、神が約束された祝福(安息)を享受することができないばかりか、主が与えた良い地から民が根こそぎ滅び失せるという警告でした(ヨシュア記23章参照)。
(2) イスラエルは神に特別に選ばれた「聖なる民」としてカナンの偶像と対決しなければなりませんでした。なぜなら、彼らはイスラエルの神こそあらゆる恵みを唯一保障できる神であることを、あかしするという課題を担わせられていたからです。それゆえ他の神々に心を移すことは霊的姦淫を犯す罪でした。今日のクリスチャンもこの誘惑にさらされています。
(3) ヨシュア記では神の約束されたものを信仰によって攻め取ったことが記されています。ところが実際には、まだ占領していない地がたくさん残っていたのです(ヨシュア記13章1節)。それゆえ各部族は自分に与えられた地に住む敵を追い払うことを課題としながらも、追い払うことをしなかったのです。それゆえヨシュアが警告したとおり、そのことはイスラエルの民にとって「わな」「むち」「落とし穴」「目のとげ」(ヨシュア記23章13節)となったのでした。
●士師記は、平和の中に忍び寄る危機に対する告発の書です。土地取得に伴う定住農耕生活の中で、カナン人の宗教(バアル、アシュタロテ崇拝)にむしばまれていくイスラエルに対して、士師記は情け容赦なく告発し、断罪しています。まさに遊牧の民が、農耕文化の中で直面した新たな問題が露呈されているのです。
士師記の瞑想
2012.4.11~5:11
No. | 箇 所 | タイトル | 実施日 |
1 | 1章1節~36節 | 未占領地はいまだ多くあった | 04.11 |
2 | 2章1節~3章6節 | カナンでの戦いを知らない新しい世代 | 04.13 |
3 | 3章7節~3章31節 | 叫び求めるネフェシュに対する主のトーヴ | 04.14 |
4 | 4章1節~5章31節 | 主を愛する者が日の出の勢いを得るように | 04.17 |
5 | 6章1節~40節 | ギデオンの召命 | 04.18 |
6 | 7章1節~25節 | 主のマイノリティー戦略 | 04.20 |
7 | 8章1節~35節 | ギデオンという人物の諸相 | 04.21 |
8 | 9章1節~57節 | 骨肉の争いにおけるさばきつかさ | 04.24 |
9 | 10章1節~11章40節 | ごろつきの大将がギルアデの大将となったエフタ | 04.25 |
10 | 12章1節~15節 | 部族間に起こった内紛 | 04.27 |
11 | 13章1節~25節 | サムソンの出生との召命 | 04.27 |
12 | 14章1節~20節 | 理不尽なことの中に主の御旨があった | 04.30 |
13 | 15章1節~20節 | 呼び求める者の泉(エン・ハコレ) | 05.01 |
14 | 16章1節~31節 | 最後良ければすべて良し | 05.02 |
15 | 17章1節~18章31節 | 宗教的混淆主義による暗黒時代 | 05.08 |
16 | 19章1節~20章48節 | ベニヤミン族に対する制裁のための戦い | 05.09 |
17 | 21章1節~25節 | 士師記の結論的定型句 | 05.11 |
2012.4.10
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