花婿からスミルナにある花嫁なる教会への手紙
ヨハネの黙示録を味わうの目次
27. 花婿からスミルナにある花嫁なる教会への手紙
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【聖書箇所】 2章8節
【新改訳改訂第3版】
また、スミルナにある教会の御使いに書き送れ。『初めであり、終わりである方、死んで、また生きた方が言われる。【新共同訳】
スミルナにある教会の天使にこう書き送れ。『最初の者にして、最後の者である方、一度死んだが、また生きた方が、次のように言われる。
ベレーシート
- 花婿なるキリストから花嫁なる教会に宛てた第二の手紙は、スミルナの教会の責任者に宛てられたものです。
- スミルナの教会がいつ始まったのか、どのようにして建てられたか、その記録は聖書にはありません。しかし使徒パウロが第三次伝道旅行において、エペソで「毎日ツラノの講堂で論じることが二年の間続いたので、アジアに住む者はみな、ユダヤ人もギリシヤ人も主のことばを聞いた。」(使徒19:9~10)とありますから、その期間にパウロがスミルナに赴いたということは十分に考えられます。
1. 「スミルナ」という意味
- 「スミルナ」ということばの意味は「没薬」です。ギリシア語では「スムルナ」(Σμύρνα、σμυρνα)です。新約聖書では、黙示録の1章11節と、2章8節以外には、以下の2箇所に出てきます。
マタイ2:10~11【新改訳改訂第3版】
10 その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。11 そしてその家に入って、母マリヤとともにおられる幼子を見、ひれ伏して拝んだ。そして、宝の箱をあけて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげた。ヨハネ19:39~40【新改訳改訂第3版】
39 前に、夜イエスのところに来たニコデモも、没薬とアロエを混ぜ合わせたものをおよそ三十キログラムばかり持って、やって来た。40 そこで、彼らはイエスのからだを取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従って、それを香料といっしょに亜麻布で巻いた。
- 御子イエスの生涯の最初と最後、誕生と死の場面で「没薬」が出てきます。「没薬」は、「香気のある樹脂で、古くから香料や医薬品として、また死体の防腐剤などとして使用された。イエスの誕生の時と、十字架の死の場面の両方で、この没薬が使われている。」(いのちのことば社、「新聖書辞典」より)。
2. 差出人は「最初の者にして、最後の者である方、一度死んだが、また生きた方」
- イエスの生涯は徹頭徹尾、御父に対する忠実を貫きました。御父に対する従順によって、御父のことばを語り、御父の心と力を奇蹟という形で表されました。それゆえ御子は、ユダヤ人の指導者たちの陰謀によって苦しみを受け、十字架にかけられて殺されてしまいました。そんな御子を御父は見捨てることなく、死からよみがえらせたのです。ローマ帝国の支配による迫害とさまざまな苦難を受けることを余儀なくされていたスミルナの教会にとって、彼らに宛てられた手紙の差出人の花婿のことを、「初めであり、終わりである方、死んで、また生きた方が言われる」というのはきわめて妥当と言えます。
- 1章18節では「わたしは、・・生きている者である」という「生きている」は現在時制でしたが、ここの2章8節の「生きた」はアオリスト時制です。つまり、歴史的な過去において、死んで、三日目によみがえった事実を表わしています。「死んで」もアオリスト時制で、十字架の上で歴史的事実として死なれた事を打ち出しています。
2014.1.9
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