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致命的な誤りをもたらした根源的要因

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44. 致命的な誤りをもたらした根源的要因

【聖書箇所】 42章1節~43章7節

ベレーシート 

  • 総督ゲダルヤが暗殺したイシュマエルの手から捕虜を取り戻すことに成功したヨハナンと彼とともにいたすべての将校たち、身分の低い者も高い者もみな預言者エレミヤに言いました。「どうか私たちのため、この残った者たちのために、歩むべき道と、なすべきことが告げられるように主に祈ってほしい」と(42:1~3)。10日の後、主のことばがエレミヤに告げられました。それによれば、「もし、あなたがたがこの国(ユダ)にとどまるなら、わたしはあなたがたを建てて、倒さず、あなたがたを植えて、引き抜かない。しかし、この国にとどまらず、エジプトに行くならば、みなそこで剣とききんと疫病で死ぬ」というものでした(42:10~18)
  • 「私たちは良くても悪くても、あなたを遣わされた私たちの神、主の御声に聞き従います。私たちが私たちの神、主の御声に聞き従ってしあわせを得るためです。」(42:6)と、人々はそのように10日前にエレミヤに宣言したにもかかわらず、いざ、「ユダにとどまれ」という主の御声に聞き従うことができませんでした。しかも、主のみこころを語ったエレミヤもいわば強制的にエジプトに連れて行かれたのでした (43:2~7)。
  • なんとも首をかしげしまう言動ですが、これをどのように理解すればよいのでしょうか。ここが瞑想のポイントです。

1. 「バビロンの王を恐れるな」という主の御声 

  • すべてを見抜き、人の心を知っておられる主が、「あなたがたの恐れているバビロンの王を恐れるな。彼をこわがるな。―主の御告げ。ーわたしはあなたがたとともにいて、彼の手からあなたがたを救い、彼の手からあなたがたを救い出すからだ。」(42:11)。と語っています。このことばによって、主が民たちの心の中に、バビロンの王に対する「恐れ」があることをよく知っておられたということが分かります。
  • 民たちの中にあった「恐れ」とは、バビロンの王がユダに立てた総督のゲダルヤを、自分たちの仲間であった者たちが暗殺したことに対する報復が必ずあるのではないか、というものでした。この恐れが、主の語られた11節のことばを反故にしてしまうほどに心を支配していたのです。

2. 致命的な誤り 

  • 「恐れ」-これが42, 43章の出来事の根底にある問題です。恐れは信仰さえも締め出してしまうほどに霊的な力を持っています。信仰が喪失すると、必ず、恐れが怒涛のように心の中に押し寄せて支配してしまいます。「恐れ」が生じるのは、霊の仕業です。恐れの霊が入り込むことによって、信仰は破壊されます。恐れをいだくことによって、人は無力にされます。愚かな判断や決断を下してしまいます。そして惨めさをもたらします。逆に、聖なる油注ぎを与えられると、信仰が芽生えて、大胆になり、いろいろなことをする勇気が与えられたり、思い切りが良くなったりします。自分の力や知恵では到底なし得ないことができるようになるのです。聖霊に満たされたイエスの弟子たちを見れば、そのことがよく理解できます。
  • 42章20節に「あなたがたは迷い出てしまっている」とありますが、その箇所を新共同訳では「あなたたちは、致命的な誤りを犯そうとしている」と訳しています。この「致命的な誤り」をもたらす本源こそ、「恐れ」なのです。ひとつの決断において、神の約束(ことば)に立つか、人間の心の内にある恐れに支配された思いに立つか、いつの時代においても不変の問いかけと言えます。

3. エレミヤ書42章に見られる強調法 

  • 同じヘブル語を重ねることで強調する修辞法が、エレミヤ書42章には顕著に見られます。11節の場合は、「恐れる」という語彙が3度重ねられていますが、他の19節と20節の場合は2度重ねられています。

画像の説明

訳文を比較してみると、それぞれ強調表現に苦心していることが見えます。

(1) 「ヤーラー」(יָרָא)

【新改訳改訂第3版】エレ 42:11
あなたがたが恐れているバビロンの王を恐れるな。彼をこわがるな。──【主】の御告げ──わたしはあなたがたとともにいて、彼の手からあなたがたを救い、彼の手からあなたがたを救い出すからだ。
【口語訳】
主は言われる、あなたが恐れているバビロンの王を恐れてはならない。彼を恐れてはならない、わたしが共にいて、あなたがたを救い、彼の手から助け出すからである。
【新共同訳】
今、あなたたちはバビロンの王を恐れているが、彼を恐れてはならない。彼を恐れるな、と主は言われる。わたしがあなたたちと共にいて、必ず救い、彼の手から助け出すからである。
【岩波訳】
あなたたちはバベルの王を恐れているが、彼を恐れないように。彼を恐れないようにー主の御告げー

(2) 「ヤーダ」(יָדַע)

【新改訳改訂第3版】エレ 42:19
ユダの残りの者よ。【主】はあなたがたに『エジプトへ行ってはならない』と仰せられた。きょう、私があなたがたにあかししたことを、確かに知らなければならない。
【口語訳】
ユダの残っている者たちよ、『エジプトへ行ってはならない』と主はあなたがたに言われた。わたしがきょう警告したことを、あなたがたは確かに知らなければならない。
【新共同訳】
ユダの残った人々よ、主はあなたたちに対して、『エジプトへ行ってはならない』と語られた。今日、わたしがこの警告を伝えたことを、しっかり心に留めなさい。
【岩波訳】
あなたたちに、ユダの残りの者よ、ヤハウェは言われた。『エジプトには行かないように』と。今日、わたしがあなたたちに示したことを、あなたたちは、はっきりとわきまえなければならない。

(3) 「ターアー」(תָּעָה)

【新改訳改訂第3版】エレ 42:20
あなたがたは迷い出てしまっている。
【口語訳】
あなたがたはみずからそむき去って、命を失った。
【新共同訳】
あなたたちは、致命的な誤りを犯そうとしている。
【岩波訳】
あなたたちは心を迷わせている。


2013.4.6


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