礼拝における詩篇朗読の伝統
詩篇ア・ラ・カルトの目次
礼拝における詩篇朗読の伝統
- ユダヤ教のシナゴーグ礼拝では、安息日ごとにモーセ五書(トーラー)が読まれていました。聖書を初めから順番に読んでいくやり方は、初期のキリスト教会にも受け継がれ、多くの時を経て、後に「聖書日課」という形で整備されていきます。その意味では、トーラーの朗読は「聖書日課」の起源とも言えるものです。ユダヤ教のシナゴーグ礼拝では、毎週のトーラーの朗読に附随して、詩篇も朗読されていたようです。
- 「詩篇」は「トーラー」と同様、バビロンの捕囚以後に編纂されたものですが、詩篇は、モーセ五書のそれぞれに、詩篇の第一巻から第五巻が対応しているように見えます。これは偶然のことではなく、十分に意図されたものであったと考えられます。ただ、モーセ五書が神から人に啓示されたものであるのに対して、詩篇のそれは人から神への祈り・讃美であるということが対照的です。
- 詩篇を朗読する伝統は、詩篇が編纂された時から、現代に至るまでの約2,500年間、礼拝の中で (テゼ共同体においては、毎日の礼拝において)、常に、受け継がれてきたということは驚くべきことです。それゆえ、私たちは、長い伝統の中で継承されてきた詩篇を、日々味わいながら、色あせることのないダビデの霊性というものを再発見する課題を負っているのだということを心に留めたいと思います。
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