恩寵用語Ps36(1)
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詩36篇(1)「尊い」 יָקָר ヤーカール
〔カテゴリーその他〕
7節「神よ。あなたの恵みは、なんと尊いことでしょう。」(前半)
Keyword; 「尊い」 precious, priceless, high-grade 高価な、計り知れない
Ps 36:7/37:20/45:9/116:15/ Ⅰking 5:17,/7:9, 10, 11
- 詩36篇の5節~11節は、詩篇の中でもひときわ神の属性をたたえたすばらしい箇所です。この箇所は大きく二つの部分に分けることができます。一つの部分(A)は5節~7節前半、もう一つの部分(B)は7節後半~11節です。第一の部分(A)の結論というべきキーワードは、「あなたのいつくしみはなんと尊いことでしょう」という驚きです。(B)のキーワードは「注いでください」です。
- (A)のキーワードである「なんと尊いことか」マー・ヤーカール(מָה יָּקָר)。ここで作者が何に驚嘆しているのかというと、神の恵み(へセド)、真実(エムーナー)、義(ツェデェク)、さばき〔はからい〕(ミシュパート)がすべてのものの上にあること、そして、人と獣(生きもの、たとえば、一羽の雀や烏にさえも)の上に等しくあるということです。Above All の驚きです。感性的な表現が多いため、多くの聖書がそれぞれ苦心して、それぞれ味わい深く訳していますが、なかでも典礼訳がひときわ心魅かれます。典礼訳では「なんと尊いことか」の部分を「はかり知れない」と訳しています。
「神よ、あなたのいつくしみは天に広がり、そのまことは世界に及ぶ。あなたの正しさはそびえ立つ山、そのさばきは深い海。神よ、あたなは人とけものを救われる。神よ、あなたのいつくしみははかりしれない(5~7a)」
- 「ヤーカール」(יָקָר)は動詞ではなく、形容詞です。「高価で、尊く、計り知れない」という意味です。名詞の「イェカール」(יְקָר)は「栄華」(49:12, 20)、「宝」を意味します。
- 後半の(B)も実に味わい深い内容です。これは(A)に基づいて語られる内容なので、バルバロ訳ははっきりと「そこで」(ו)という接続詞を入れて訳しています。そこで人々は、御翼のかげに隠れ場を見出し、そこに身を避けるのです。
- 以下は、典礼訳。
「あなたの翼のかげに人々はのがれ、あなたの家の豊かさ(原語は「脂肪、膏」)に飽かされ、喜びの川から水を飲む。(原文にはこのあと「なぜなら」という接続詞がある)いのちの泉はあなたのもとにあり、あなたの光のうちに、私たちは光りを見る。あなたを知る者に、いつくしみを、心の正しい人に豊かな恵みを注いでください。(7b~11)」
●典礼訳、フランシス会訳が「義」(6, 11節)を「豊かな恵み」と訳しているのは趣き深いものがあります。それを絶やすことなく「注ぎ」続けてくださいと祈っているのです。
- (B)のキーワード「注いでください」は恩寵用語Ps36(2)を参照。