ヨハネに対する主の委託の声(3)
ヨハネの黙示録を味わうの目次
19. ヨハネに対する主の委託の声(3)
【聖書箇所】 1章19節
【新改訳改訂第3版】
そこで、あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。【新共同訳】
さあ、見たことを、今あることを、今後起ころうとしていることを書き留めよ。【エマオ訳】
ですから、あなたが見たことなどを、そして今あることなどを、そしてこれらの事の後に起ころうとしていることなどを書き記しなさい。
ベレーシート
- 1章19節では、「死とハデス」の鍵を持つ主が、ヨハネに対して、見たこと(過去)、そして今あること(現在)、さらにこれから起ころうとしていること(将来)を、書き記すように命じています。
- 「書き記しなさい」の命令形はアオリスト時制です。これは、ヨハネ自身が主から委託された重い事柄として受け留め、どんなことをしても書き記すことを促しています。
- 19節は本書(ヨハネの黙示録)のアウトラインです。
1. あなたが見たこと(過去)
ここで、ヨハネが「見たこと」(複数)とは、1章10節~18節に記されている栄光の主イエスの幻のことです。
2. 今あること(現在)
これは2章と3章に記される七つの教会の現状、つまり、教会時代のことです。
3. この後に起こること(将来)
「この後に起こること」とは、教会時代が終わった後に起こることです。それは、4章~22章に記されていることです。
- 特に、「起こること」(不定詞)と連動して、「必ずそうなる、きっと起こる、確実に起こる」ことを意味する「メッロー」(μέλλω)という言葉があります。この「メッロー」(μέλλω)は文法的には現在時称であっても意味は未来的に訳されます。神のみこころによって、そうなるように定められていること。だれもそれを止めることも、また変更することもできないニュアンスを意味します。
- 将来、確実に起ることを知ることは、現在をどう生きるかということと密接な関係にあります。私たちの信仰が、決勝点の分からないような走り方をしないためにも、また空を打つような拳闘をしないためにも、黙示録に啓示されている確実に将来起こることを知る必要があるのです。その視点から、確かな希望を持ち、さまざまな教えを吟味する必要があるのです。まさに、本書の目的はそこにあります。
4. 「書き記せ」との命令
- 「書き記せ」は、アオリスの命令形です。神の意志を言葉にして表明すること、それは神から預かって語る(書く)ことを意味します。それなりの覚悟と責任が求められます。神の御旨を正確に書き記さなければならないのです。これがヨハネに与えられた生涯最後の神から与えられた任務でした。
2013.12.15
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