詩篇のカテゴリーを知ること
(25) 詩篇のカテゴリーを知ること
- 詩篇がことばの洪水のように感じないために、詩篇が四つ、ないしは五つの要素(カテゴリー)から成っていることを知ることは大いに助けになります。このことはすでにコラムの中でふれてきましたが、ここでもう一度整理してみたいと思います。
- 第一は〔礼拝用語〕です。人が神に対してなす礼拝の行為や態度を表わす動詞です。たとえば、「身を避けます」「ゆだねます」「信頼します」「楽しみ、喜びます」「呼び求めます」「愛します」「待ち望みます」・・等です。この動詞を主体的に生きる者を「主に身を避ける者」「主を信頼する」と表現されます。詩篇は、実にこの礼拝用語であふれています。神を知る者たちの神に対する関わりの豊かさを見ることができます。また、この礼拝用語が命令形として用いられる時、人への呼び掛け、礼拝への招き用語にもなります。
- 第二は〔恩寵用語〕です。これは神が人に対してなす行為であり態度です。「たくわえる」「備える」「かくまう」「隠す」「施す」「聞かれる」・・等。神のこうした動詞を発見して瞑想するだけでも、大いに励まされ、力づけられます。
- 第三は〔嘆願用語〕です。これは人が神に対して「・・してください」という形で表現されます。「恥を見ないようにしてください」「助け出してください」・等。この嘆願は、裏を返せば「主は・・してくださる。」という信仰が背景にあります。イエスは嘆願する者に対して、「あなたの信仰があなたを救ったのです。」と言われました。
- 第四は〔信仰告白〕です。嘆願用語それ自体の中にすでに「主は、こういう方です」という信仰の告白が包含されていますが、それをはっきりと言い表したのが信仰告白です。「あなたこそ、私の巌、私のとりで」「私の神」「主は私の羊飼い」・等。自分にとって神とはどのような方であるかを言葉で表わすことによって、自分の神観が明確にされます。そしてその語る言葉によって私たちは支配されるのです。
- また、上に挙げた用語が共同体における霊的遺産としてまとめられると〔教訓的真理〕として表現されます。たとえば、「幸いなことよ。主をおのれの神とする、その国は。」「主に信頼する者には、恵みが、その人を取り囲む。」・・等です。
- こうしたことを知っておくことで、詩篇がことばの洪水にならずに整理されて、ひとつの全体像として見えてくるようになります。詩篇をさらに楽しんでください。