詩篇における「呼びかけ」
32. 詩篇における「呼びかけ」
- 詩篇には三つの<呼びかけ>があります。つまり、①神に向かって呼びかけるもの、②人に向かって呼びかけるもの、そして③自分に向かって呼びかけるものです。
- 詩篇の多くは神に向かって呼びかけられています。嘆きの詩篇は特にそうです。嘆きが人に向かってではなく、神に向かって訴えられています。私たちの多くが、神に向かってではなく、人に向かって訴えることが多いことかを思えば、詩篇はその点ですばらしいと思います。なぜなら、すべての解決は神にあるからです。
- 逆に、人に向かって呼びかけている詩篇があります。それは、礼拝への招きの詩篇において顕著です。また、知恵の詩篇のように、教訓や格言として、人々に向かって呼びかけるのもあります。
- そして、自分に向かって呼びかける詩篇があります。数として多くはありませんが、「わがたましいよ」と呼びかけます。42篇、43篇、103篇等がそうです。そこでは、絶望している自分に、また、豊かな恵みを注いでくだった神を決して忘れることがないようにと、自分に語りかけます。なぜなら、信仰者といえども、霊的なスランプに陥ることがあるからです。
- なぜ霊的なスランプに陥るのでしょうか。それは、私たちが神の恵みに狎れて、恵みが当たり前のように思ってしまうからです。あるいは、自分が自分に対して自分の思い(つぶやき)をそのままに語らせているのを許してしまうからです。霊的なスランプに陥ったときの対処法は、意気消沈させている内なる自分に対して、また恵みに狎れている自分に対して、はっきりと対決し、叱責し、訓戒し、問いかけることです。そして、神はどんな方であり、また何をすると約束してくださったかを、意識的に、はっきりと自分自身に対して思い起こさせることが必要です。