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腰が砕けるほどの知らせ(エルサレム滅亡)

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21. 腰が砕けるほどの知らせ (エルサレム滅亡)

【聖書箇所】 20章45節~21章32節

ベレーシート 

  • 「腰を抜かす」といえば非常に驚くことを意味しますが、「腰が砕ける」といえば、もう続かない、もはや存続できないほどに崩れることを意味します。これはまさに難攻不落と言われたエルサレムの町が滅亡することを意味しています。原語では状態・程度を表わす前置詞「べ」(בְּ)を伴った名詞「シバ―ローン・マートゥナイム」(שִׁבָּרוֹן מָתְנַיִם)がついて「腰が砕けるほどに」の意味です。
  • ヘブル語聖書ではエゼキエル書20章45節からの部分が21章となっています。21章のテーマは「火と剣による神のさばき」がもう取り消されることがなく、エルサレムの町は廃墟となるということです。これはおそらくそれが起こる前の4, 5年前に語られた主のことばです。

1. 火は、すべての緑の木とすべての枯れ木を焼き尽くす

  • エゼキエル書20章47節のことばは重要です。なぜなら、主イエスがここから引用されているからです。新約聖書はヘブル的視点からのみ真に理解できることを確認するために、主イエスが語ったことばを見てみましょう。

    【新改訳改訂第3版】ルカ23:27~31

    27 大ぜいの民衆やイエスのことを嘆き悲しむ女たちの群れが、イエスのあとについて行った。
    28 しかしイエスは、女たちのほうに向いて、こう言われた。「エルサレムの娘たち。わたしのことで泣いてはいけない。むしろ自分自身と、自分の子どもたちのことのために泣きなさい。
    29 なぜなら人々が、『不妊の女、子を産んだことのない胎、飲ませたことのない乳房は、幸いだ』と言う日が来るのですから。
    30 そのとき、人々は山に向かって、『われわれの上に倒れかかってくれ』と言い、丘に向かって、『われわれをおおってくれ』と言い始めます。
    31 彼らが生木にこのようなことをするのなら、枯れ木には、いったい、何が起こるでしょう。

  • 上記のピンクで記した31節の箇所はとても難解です。主イエスはエゼキエル書20:47の箇所を知っていて「生木と枯れ木」の話をされたことが分かるのです。ルカの福音書23章31節の「生木」は、エゼキエル書では20章47節の「緑の木」のことです。20章47節にはこう記されています。

    新改訳改訂第3版 
    ネゲブの森に言え。『【主】のことばを聞け。神である主はこう仰せられる。見よ。わたしはおまえのうちに火をつける。その火はおまえのうち、すべての緑の木と、すべての枯れ木を焼き尽くす。その燃える炎は消されず、ネゲブから北まですべての地面は焼かれてしまう。

  • エゼキエル書では、ユダに対する火によるさばきにおいて枯れ木のみならず、緑の木(生木)をも燃やし尽くすほどの火の勢いで燃やされるというさばきの大きさを表わしています。比喩的には「生木」は義人を、「枯れ木」は邪悪な人を意味しています。
  • ルカの福音書で、残酷な刑場への途上にあるイエスはやがて恐ろしい破壊がエルサレムの上に襲いかかろうとしていることを知っていました。それゆえ、イエスもエゼキエルど同様に胸の張り裂ける思いだったのです。イエスはイエスのために嘆き悲しんでいる女性たちに対して、言います。「わたしのために泣くな。自分たちのために泣くがいい。もし彼ら(ローマ人)がわたしにこの事をするなら、あなたたちに何をするだろうか」と。つまり「枯れ木」であるあなたがたも、やがてローマ人の手によってそれ以上のひどい悲しむべき出来事に陥らされるだろうと語ったのです。
  • ここで重要なことは、主イエスがエゼキエル書の「緑の木」、すなわち「生木」を自分をたとえて、自分がメシアであることを主張しているということです。
    ⇒詳しくはこちらを参照のこと
    このことを知らなければ、つまりエゼキエル書20章47節、および21章を知らなければイエスが何を言おうとしているか分からないということです。

2.  エルサレムが滅亡のときが来ると・・

  • エルサレムの滅亡の知らせが実際に来るとどんなことになるのか、ユダの人々の様子が描かれています。

画像の説明

  • ※ヘブル語の「マーサス」を英語では「メルト・ダウン」と訳しています。2011. 3.11 の福島第一原子力発電所事故のニュースで初めて、そして何度も聞いた言葉です。「メルト・ダウン」とは、「炉心の冷却ができない状態によって原子炉の核燃料体が異常に高温となり、炉心の燃料棒や制御棒等の内容物が溶融、損傷する現象」と説明されています。原子炉の重大な損傷に至るだけでなく、内部の放射性物質が放出されるということが起こり、周囲にいる人々に深刻な緊急事態宣言を発動することが余儀なくされます。
  • 日本語の「心が溶ける」という表現は「心がやわらぐ、気持ちがほぐれる」という意味ですが、ヘブル語の「マーサス」(מָסַס)の「心が溶ける」とは、「立ち直ることができないほどの損傷を受けた危機的な状態」を意味するようです。そのような状態を日本語で表現するなら、「心が折れる」となります。

2013.6.5


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