****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

祭りの日の新月と満月に、角笛を吹き鳴らせ

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112. 祭りの日の新月と満月に、角笛を吹き鳴らせ

【聖書箇所】 詩篇81篇3(4)節

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【読み】
ティクー ヴァーデシュ ショーファール バーセー レーム ハゲー

【文法】
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【翻訳】

【新改訳改訂3】
われらの祭りの日の、新月と満月に、角笛を吹き鳴らせ。
【口語訳】
新月と満月とわれらの祭の日とに/ラッパを吹きならせ。
【新共同訳】( 4節)
角笛を吹き鳴らせ/新月、満月、わたしたちの祭りの日に。
【岩波訳】(4節)
新月に角笛を鳴らせ、満月に、われらの祭の日に。
【NKJV】
Blow the trumpet at the time of the New Moon, At the full moon, on our solemn feast day.
【NIV】
Sound the ram's horn at the New Moon, / and when the moon is full, on the day of our Feast;

【瞑想】

詩篇81篇3節のフレーズだけを見て、これが何の祭りかが分かる人はかなりの旧約聖書通です。この短いフレーズを理解するには、主の祭りについての聖書的知識、太陰暦の知識、そして「角笛」についての(それが吹き鳴らされる目的についての)知識が必要です。

詩篇81篇の作者であるアサフは、ダビデ時代の賛美リーダーの一人です。当時の賛美リーダーは、単に神への賛美を導く音楽的な指導者だけでなく、預言的な歌を歌える霊的な指導者でもありました。詩篇81篇ではアサフが神の民に呼びかけ、そして預言しているのです。

【新改訳改訂第3版】詩篇81篇1~4節
1 われらの力であられる神に喜び歌え。ヤコブの神に喜び叫べ。
2 声高らかにほめ歌を歌え。タンバリンを打ち鳴らせ。六弦の琴に合わせて、良い音の立琴をかき鳴らせ。
3 われらの祭りの日の、新月と満月に、角笛を吹き鳴らせ。
4 それは、イスラエルのためのおきて、ヤコブの神の定めである。
5 神が、エジプトの地に出て行かれたとき、ヨセフの中に、それをあかしとして授けられた。私は、まだ知らなかったことばを聞いた。

(1) 角笛

角笛.JPG

角笛「ショーファール」(שׁוֹפָר)は雄羊の角で作られたイスラエルのラッパの一種です。旧約聖書には「ラッパ」と訳される「ハツォーツェラー」(חֲצוֹצְרָה)という銀でできた筒状の管があります(民数記10:2)。これは荒野においてイスラエルの民を招集したり、行進したりする合図の音を出すためのものでした。しかし、やがてカナンの地に定住する時代になると、「ラッパ」はおもに神殿で神を礼拝する楽器として用いられるようになりました。角笛は礼拝の賛美の中でも用いられましたが、祭司でなければ吹くことはできませんでした。角笛は人々を招集するだけでなく、戦いの武器として用いられたり、王の就任の時や主の例祭、そしてある特別な合図のしるしとして吹き鳴らされたりしました。ここ詩篇81篇では、ある祭りの日のための合図として吹き鳴らすことが命じられています。

新約聖書では、「ショーファール」と「ハツォーツェラー」の区別なく、主の日、すなわち、終わりの日に主が訪れる合図の「ラッパ」として、ギリシャ語の「サルピンクス」(σαλπιγξ)が使われています。Ⅰコリント15章52節、Ⅰテサロニケ4章16節を参照。キリストが再臨される前には、必ず、神のラッパが鳴り響くのです。もちろん霊的な響きとしてですが、そのラッパの響きはすでに、吹き鳴らされていると信じます。

(2) 主の例祭

詩篇81篇で吹き鳴らすように命じている祭りとは、「仮庵の祭り」のことです。なぜなら、「新月」と「満月」に吹き鳴らされるのは、この「仮庵の祭り」の時だけだからです。ここでの「新月」と「満月」とは第七の月の第1日目と15日目のことです。最初の角笛は一年の中で最も大いなる祭りの日が近づいたことの知らせであり、15日目は「仮庵の祭り」の始まりを告げる角笛です。1節に「われらの力であられる神に喜び歌え。ヤコブの神に喜び叫べ。」とあるように、仮庵の祭りの特徴は<喜び>です。主の再臨の日は「仮庵の祭り」の時です。

仮庵の祭りの意義は、過去の神の恵みを回顧し、神の約束の成就を待ち望むことです。民を荒野から約束の地へ導いた神が、再び、さまよえる民を主ご自身のもとへ導き、約束したすべてのものを与えようとしておられることを期待すると同時に、神の約束に耳を傾け、新しい心をもって神に聞き従うことなのです。

旧約における「主の祭り」の制定は非常に重要です。そこには神の救いについての啓示があり、神のご計画についてのタイムテーブルが啓示されているからです。主にある者たちは、この「主の祭り」について十分に学ぶ必要があります。

ちなみに、A.D.200年ころ、ローマ・カソリック教会では「新約にある信者は安息日を含め、主の例祭を祝わないように、祝う者は信者間の交わりから除名する」との通告が出されました。このことによって、キリスト教会は元木であるヘブル的・ユダヤ的ルーツから切り離されてしまったのです。つまり、「主の例祭」に込められたt神の啓示を悟ることが出来なくなってしまったのです。それゆえ、私たちはヘブル的・ユダヤ的視点から聖書を学び直す必要に迫られているのです。

「天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある」(伝道者の書3:1)とあるように、今や世界中の所どころにおいて、仮庵の祭り(キリストの再臨、終わりの時)を知らせる「新月」の角笛が吹き鳴らされています。

月に照射される太陽の光の量は自然界や人間の営みにも大きな影響を与えています。太陽と月の関係は、霊的な世界においても深いつながりがあります。神の御子イエスは常に御父(太陽)の光を受けておられましたが、イエスが十字架につけられた十二時から三時までは全地が暗くなりました。その暗闇の中で、御子イエスは「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」と叫びました。十二時から三時まで実際に全地が暗くなったというのはきわめて象徴的です。なぜなら御父がその御顔を御子から背けられたからです。しかし、死んでから三日目にイエスは復活します。月も人の目に見える「新月」として現われるまでの二日間は見えません。このように、天地万象の中にも神の救いの啓示が隠されているのです。

「新月」は新たな始まりを意味します。そして月の輝きは次第に大きくなり、やがて15日後に「満月」になります。「満月」になってから角笛が吹き鳴らされて「仮庵の祭り」が始まるのです。そしてアサフが預言したように、やがて主の勝利の歌声が聞かれるようになるのです。神の救いにおいて「新月」はキリストの十字架の死と復活を意味し、「満月」はキリストの再臨を表わしています。いずれの時にも神の角笛、神のラッパが鳴り響くのです。ちなみに、雄羊の角(ショーファール)を吹いて始まる解放の年のことを「ヨベル」(יוֹבֵל)とも言います。

「海」は霊的には神の敵であるサタンの力の象徴です。キリストの再臨を象徴する「満月」に近づけば近づくほど、海は荒れ、波が激しくなり、その力は日増しに強くなっていきます。黙示録13章には「海」から一匹の獣が上って来て、三年半地上を支配すると記されています。それゆえ「諸国の民が、海と波が荒れどよめくために不安に陥って悩み、人々は、その住むすべての所を襲おうとしていることを予想して、恐ろしさのあまり気を失います。」(ルカ21:25~26)。

しかし同時に、黙示録12章14節には「大わしの翼を二つ与えられた女」の話があります。その女(イスラエルの残りの者、教会を意味します)は、自分の場所である荒野に飛んで行って、そこで養われるのです。これは今まで隠されていたみことばの真理がより豊かに啓示されることを意味しています。「月」が太陽の光を受け、その量が増して「満月」に近づくように、キリストの再臨前には「キリストの御顔にある神の栄光を知る知識(啓示の光)」がますますその輝きを放つようになるのです(Ⅱコリント4:6)。

そのことを予告するのが、アサフの「私は、まだ知らなかったことばを聞いた」(詩篇81篇5節後半)という言葉です。その「ことば」とは私たちが普段、常識的に考えている方向とは全く逆に思える神のメッセージです。ヘブル的・ユダヤ的視点から聖書を読み直すなら、日を増すごとに、神のみことばが新しく開かれ、その意味することが深められ、迫ってくるのです。

【付記】
⇒ 楽譜"The Day of the LORD" & "Rejoice O Israel"

2013.6.18


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