神の民の成立のために、神がなされた四つの出来事
モーセ五書の目次
出エジプト3. 神の民の成立のために、神がなされた四つの出来事
- イスラエルが神の民としての身分が与えられ、神の「しもべ」たることに徹底するのを助ける四つの経験が出エジプト記に記されている。それは「過越」「紅海徒渉」「荒野経験」「契約」の出来事である。
(1)〔過 越〕
①10番目の災いがエジプト全土を襲う夜、イスラエルの人々は神の示しによって各自、戸口のかもいと柱に小羊の血を塗った。その血によって神のさばきは免れた。これは「血による区別」である。キリストの血潮だけが、救いと滅びを分ける。
②小羊の血によってイスラエルの民は買い取られたのである。つまり小羊の血(いのち)という代価によって買い取られて神の所有とされた。
(2)〔紅海徒渉〕
①追い詰められ、前後左右いずれも逃れる道はなく、絶体絶命の危機的状況の中で、ただ神に信頼することによってのみ道は開かれた。このような経験を通った人はそのあとの信仰がはっきりし ている。自分の過去の罪の意識によって、鋭く追い詰められて、キリストの十字架以外に逃れる道がないことを経験することである。ここを通ると後戻りは出来なくなる。
②紅海徒渉の経験は奴隷の家との断絶を意味する。それはモーセとともになることによってこの紅海は越えられた。バプテスマの経験とはまさにこのことである。洗礼とは「死」である。イエスが十字架で死んでくださったときにキリストにあって私たちも死んだのである。ローマ書6章参照。
(3)〔荒野経験〕
①荒野の経験は「人はパンのみによって生きるのではなく、神の口から出るひとつひとつのことばによる」ということを経験する場である。神のことばに絶対的に信頼する者に神は責任をもってくださる。マタイ6章33節参照。
②だれがこの私を生かしてくるのかが問われる経験。生活のかかっていない観念だけの信仰では力がない。神の民は神のことばに従って生きる訓練が強いられる。
(4)〔契 約〕
①シナイ山で結んだ契約によって神の民としての正式な身分が決定する。それは成人した男子と女子が結婚をして夫と妻という夫婦という関係を結ぶように、神とイスラエルはここで結婚関係を結んだのである。奉仕という観点からいえば、主としもべの関係の締結とも言える。
②契約はあくまでも双方の合意によってなされ、決して一方的な強制によるものではない。「私は喜んであなたのしもべとして仕えさせていただきます」という関係である。
a:6149 t:1 y:2