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瞑想Ps113/A

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瞑想Ps113/A

  • 詩113篇のキーワードは、6節の「身を低くして」であると私は思います。4節を読むと、主はすべての国々の上に高くいまし、その栄光は天の上にあるとされています。すべての万物を超越し、その栄光の輝きは、私たちの及ばない「天」のさらに上にあるのです。神の超越性、無比性がここで確認されます。その超越した神が「身を低くして天と地をご覧になる」のです。これは山の上から下界を眺めているのとは違います。もっと身を低くくし、私たちひとりひとりをご覧になるというのです。お高くとまっている方ではありません。ご覧になるだけではありません。7節以降には次のように記されています。 「主は、弱い者をちりから起こし、貧しい者をあくたから引き上げ、 彼らを・・・王座に着かせられる。 主は子を産まない女を、子をもって喜ぶ母として家に住まわせる。 」
  • 「弱い者」「貧しい者」「子を産まない女」という表現が出てきますが、いずれも蔑視的な表現です。ところが主は、このような者にも目を留めてくださったという告白が記されているのです。 世界中には60億の人がいると言われています。そんな多くの人々がいるなら、神様だって、その中のたった一人である私に対して目を留めてくださるということは考えられないと思ってしまうことはないでしょうか。中でも特に「弱い者」「貧しい者」「子を産まない女」にも目を留めてくださる神なのです。「子を産まない女」という意味は文字通り、不妊の女性を意味しますが、昔は、神の顧みを受けていない者として冷たく扱われました。しかし聖書を読むなら、アブラハムの妻サラやイサクの妻リベカも子を産めなかったことで苦しみましたが、神は彼女たちに約束どおり子を与えました。また預言者サムエルの母となったハンナも不妊で苦しんだ女性の一人でした。
  • すべてのものを超越し、他の何ものにも比べることを許さない神が身を低くされたという現実が、やがて神の御子イエス・キリストによって実現します。天よりも高いところに座しておられる神が、最も低いところへと下られたのです。それは私たちをして、「天の所に」座らせてくださるためです。
  • イエスの母マリヤの賛歌(マグニフィカート)は、「神による逆転の恵み」を歌っている賛歌です(ルカの福音書1章参照)。マリヤは言った。「わがたましいは主をあがめ、わが霊は、わが救い主なる神を喜びたたえます。主はこの卑しいはしために、目を留めてくださったからです。ほんとうに、これから後、どの時代の人々も、私をしあわせ者と思うでしょう。力ある方が、私に大きなことをしてくださいました。」 
  • どんなに「大きなことか」」というと、それは「心の思いの高ぶっている者を追い散らし、権力ある者を王位から引き降ろされること。低い者を高く引き上げ、飢えた者を良いもので満ちたらせること」です。ここに「逆転の恵み」が歌われています。詩113篇では、「引き上げて、王座に着かせられる」とあります。
  • 私たちはひとりひとり神の目から忘れられた存在ではありません。「身を低くされて」、私を(あなたを)「引き上げる」ためにかかわろうとしておられるのです。それはひとえに神の愛のゆえです。なんと感謝なことでしょうか。
  • この世では、より強い者、より地位の高い者、より富んでいる者、より優れた能力のある者がもてはやされ、称賛されます。しかし神の世界は全く異なります。屈辱、不名誉、失敗、堕落のただ中に主は来られます。そしてこれらの中ある者たちを引き上げられるのです。神に受け入れられた者とは、「自分を義人だと自認し、他の人々を見下していた」パリサイ人ではなく、神の目をまともに見ることのできなかった取税人の方でした(ルカ18章9~14節参照)。このことはパリサイ人にとって「腰を抜かすほど」の驚きでした。ここに神の励ましのメッセージがあります。
  • この詩篇が書かれたのは、おそらくバビロン捕囚以降、そこから解放されてエルサレムに神の民として帰還してから後に作られたものと思います。神の民は、バビロンでの捕囚経験によって、自分たちの弱さや貧しさを、そして屈辱を嫌というほど味わったはずです。その彼らを神は引き上げてくださったのです。そして神は、彼らに「だれが、われらの神、主のようであろうか」と歌わせたのです。             

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