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文脈に隠されている真理を掘り起こす

17. 文脈に隠されている真理を掘り起こす

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はじめに 

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イエスは人々に語る時にくり返し声を大にして言われたことがあります。それは、「耳ある者は聞きなさい」、「聞き方に注意しなさい」ということでした。聖書を読んで味わうためにはサプリメント思考では行き詰まります。場当たり的な読み方では文脈の中に隠されている大切な真理を見出すことが難しいのです。今回のセミナーで試みたことは、4つのピクチャーを提示して、そこに流れている真理を発見することでした。選ばれた4つのピクチャーはルカの福音書10章17節から11章13節の範囲の中にあります。

1. 聖書をじっくりと横に読む(文脈を読み取る訓練)

聖書は私たちにこびることをしません。聖霊によって配列された文脈の中にある真理が掘り起こされることを、ただじっと待っているのです。もし私たちが文脈を大切にして読んでいくなら、そこにはひとつにつながっている真理を見出すことができるということを演習しました。自分に欠けた栄養素をそのときそのときに補うかのように聖書をあちこち開いて読む読み方ではなく、聖書をじっくりと横に読む、つまり、文脈を読み解く力を私たちは日々養っていく必要があります。そのことで瞑想する力は確実に養われるからです。

2. 「あなたも行って同じようにしなさい」 とは

  • ここで4つのピクチャーのすべてを扱うスペースはありませんので、わかりやすいピクチャーを先に取り上げてみたいと思います。10章にある「良きサマリヤ人のたとえ」です。「あなたも行って同じようにしなさい」と言われた「同じように」の真意は、このたとえ話だけからでは正しく理解できません。もしこのことばをそのまま取り上げて、「困っている人を助けてあげましょう」というメッセージを受け取るならば、それは単なる道徳的レベルの話になります。このたとえ話がどんな文脈の中で語られたかを知る必要があります。
  • 語られた対象は「律法の専門家」です。彼は熱心に「永遠のいのちを求めていた人」です。律法(トーラー)にある大切な教えを彼はズバリ鷲づかみにして答えることができました。しかも自分の理解していることが正しいことを確かめたくて、「隣人」とはだれのことかとイエスに尋ねました。律法の専門家が考える「隣人」とはユダヤ人のことだと理解していたからです。その彼にイエスはたとえを通して「だれが隣人となったか」と問いかけ、「その人にあわれみをかけてやった人(サマリヤ人)」と言わせました。もしここで、「大切なことは偏見や差別を超えて困っている人を助けることだ」と考えるなら、宗教的レベルの話になります。
  • イエスがここで「行って同じようにしなさい」と語られたのは、律法の専門家が同じようにできないと自ら認めることを願って語られたのです。というのは、サマリヤ人の介抱の動機である「かわいそうに思い」ということばは、実はイエスにのみ使われている深い感情を表わす語彙(「スプランクニゾマイ」σπλαγχνίζομαι)だからです。

3. 「わたしのもとに来て、わたしのうちにとどまる」という秘義

  • 「永遠のいのち」という視座でみるなら、イエスは律法学者やパリサイ人たちに対して次のように言っています。

    【新改訳改訂第3版】
    ヨハネ4:10
    「もしあなたが神の賜物を知り、また、あなたに水を飲ませてくれと言う者がだれであるかを知っていたなら、あなたのほうでその人に求めたことでしょう。そしてその人はあなたに生ける水を与えたことでしょう。」

    ヨハネ5:39~40
    「あなたがたは永遠のいのちがあると思うので聖書を調べています。その聖書がわたしについて証言しているのです。それなのに、あなたがたはいのちを得るためにわたしのもとに来ようとはしません。」

  • 「永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。」(ヨハネ17:3)。イエスを知り、自ら「イエスのもとに来て、イエスのうちにとどまる」ことなしには永遠のいのちを得ることはできないというのが、「良きサマリヤ人のたとえ」が教えていることです。これが聖書的レベルです。しかも、このことの重要性を強固に支えているのが、他の3つのピクチャー(A;ルカ10:17~24, C;10:38~42,D;11:1~13)です。どのように支えているのか、これを読まれているあなたが、是非、それを発見し、確かめてみてください。

2012.1.30


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