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恩寵先行、信仰後続の論理

【補完3】 恩寵先行、信仰後続の論理


【聖書箇所】 申命記 9章1節~29節

ベレーシート

  • 9章には、ヨシュア記の特徴である「恩寵先行、信仰後続の論理」が記載されています。それから、この9章に繰り返される「四十日四十夜」というフレーズが登場しています(4回)。そしてもう一つ発見したことを掲載しておきたいと思います。

1. 恩寵先行、信仰後続の論理

【新改訳改訂第3版】申命記9章1~3節
1 聞きなさい。イスラエル。あなたはきょう、ヨルダンを渡って、あなたよりも大きくて強い国々を占領しようとしている。その町々は大きく、城壁は天に高くそびえている。
2 その民は大きくて背が高く、あなたの知っているアナク人である。あなたは聞いた。「だれがアナク人に立ち向かうことができようか。」
3 きょう、知りなさい。あなたの神、【主】ご自身が、焼き尽くす火として、あなたの前に進まれ、主が彼らを根絶やしにされる。主があなたの前で彼らを征服される。あなたは、【主】が約束されたように、彼らをただちに追い払って、滅ぼすのだ。


  • 特に、3節の「あなたの神、【主】ご自身が、焼き尽くす火として、あなたの前に進まれ、主が彼らを根絶やしにされる。主があなたの前で彼らを征服される。」というのが恩寵です。ここには三つの恩寵用語があります。
    ①「進まれる」(先導する、川を渡っていく)・・「アーヴァル」(עָבַר)
    ②「根絶やしにされる」(滅ぼす)・・「シャーマド」(שָׁמַד)
    ③「征服される」(屈伏させる)・・「カーナ」(כָּנַע)
    この神の事実(約束)をイスラエルの民は知る必要があるのです。
  • そして、イスラエルの民は神の恩寵の約束を信じて、「彼らをただちに追い払って、滅ぼ」さなければならないのです。ここには二つの動詞があります。一つは「追い払う」と訳された「ヤーラシュ」(יָרַשׁ)と、もう一つは「滅ぼす」と訳された「アーマド」(אָבַד)です。これは信仰の行為です。つまり、主の戦いに参戦して、神に敵対する民を「追い払い」、そして「滅ぼす」ことが求められているのです。つまりイスラエルの民は、神にとって神のなそうとしていることをするための道具に過ぎません。その証拠に、「あなたが彼らの地を所有することのできるのは、あなたが正しいからではなく、またあなたの心がまっすぐだからでもない」(5節)こと、そして主が「アブラハム、イサク、ヤコブになさった誓いを果たすためである」(同)と語られています。むしろ、イスラエルの民は「うなじのこわい民」であったのです。
  • 「うなじのこわい民」という表現は、おそらく「くびき」という概念に基づいて、神と民との関係が考えられているからだと思います。イェシュアも人々を招くときに、そのような関係が念頭にあったことと思います(マタイ11:28~30)。

2. 「四十日四十夜」というフレーズ

  • 申命記には9章に4回、そして10章に1回、「四十日四十夜」というフレーズがあります。「四十日四十夜」はヘブル語で「アルバーイーム・ヨーム、ヴェアルバーイーム・ライラー」(אַרְבָּעִים יוֹם וְאַרְבָּעִים לַיְלָה)です。初出は創世記7章4節で、地に雨を降らせることですべての生き物を消し去るという目的のための期間として設定されています。つまり、神のさばきとしての「四十日四十夜」です。しかし、この「四十日四十夜」を断食をもって主の前にとどまり、神の試練を受けた者たちがいます。それは「モーセ」(出24:18,34:28、申9:9,11,18,25、10:10)と「エリヤ」(Ⅰ列王19:8)と「イイェシュア」(マタイ4:2)です。
  • この三人の人物が一堂に会する時があります。それは「山上の変貌」の場面です。そこではまさにシャカイナ・グローリーが現われています。彼らは、「最期について語った」とあります。「最期」とはイェシュアの十字架の時でもあり、メシアの再臨の時とも考えられます。いずれにしても、「四十日四十夜」の断食をした三人が登場していることが、意味深いことなのです。

3. 同じ発音でも原語が異なる語彙

  • 石の二枚の「板」。この板に、神の指によって十のことばが書き記されます。この「板」と訳された原語は「ルーアッハ」(לוּחַ)です。「ルーアッハ」と言えば、文字は異なりますが、霊・息・風を意味する「ルーアッハ」(רוּחַ)もあります。いずれも日本語での読みの表記は同じでありながら、全く異なる意味をもった語彙なのです。原語で語彙を調べていく時、こんなことを発見できるのは、とても楽しいものです。

2017.9.13


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