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主に争いをしかけたバビロン

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51. 主に争いをしかけたバビロン

【聖書箇所】 50章1節~46節

 ベレーシート 

  • 私たちが信じようが信じまいが、神のことば、神の預言は必ず実現することを私たちは悟らなければなりません。目に見える今の世界情勢を見て判断するのではなく、あくまでも神のことばによってこれから起こることを知るのです。歴史を舞台にしてご自身を現わされた(る)神のあかし、これまでの歴史で実現したことを知るなら、これから神がなにをなさるかが見えてきます。
  • エレミヤ書が50章と51章で預言された「バビロンの滅亡」は、事実、歴史の中に成就したのです。諸国の民がバビロンによってことごとく破壊され、人々の多くを捕囚としたバビロンが、万国に鉄槌を打ったバビロンが北から来る民(ペルシャ)によって滅ぼされ、事実、この世からその姿を消したのです(エレミヤ50:41, 51:48)。そもそもバビロンが滅ぼされた原因は何だったのでしょうか。今回の瞑想で取り上げるポイントはそのことです。

 イスラエルの聖なる方に向かっての「高ぶり」 

  • 50章24節の最後の行で、主はバヒロンに告げています。「おまえが主に争いをしかけたからだ。」と。それを29節は次のように言い換えられています。「主に向かい、イスラエルの聖なる方に向かって高ぶったからだ。」と。
  • 29節、31節、32節には「高ぶる」「高ぶる者」とことばが出てきます。「高ぶる」という動詞は「ジード」(זִיד)、その名詞は「ザードーン」(זָדוֹן)です。
  • バビロンに対するさばきの預言は、まだバビロンがアッシリヤを倒して世界の覇権を握る前から預言者イザヤによって預言されていました。エレミヤが預言した「主に向かって高ぶる」こと、「主に争いをしかける」ということがどういうことかをそこに見ることが出来ます。

【新改訳改訂第3版】イザヤ書 14章12~14節

12 暁の子、明けの明星よ。どうしてあなたは天から落ちたのか。国々を打ち破った者よ。どうしてあなたは地に切り倒されたのか。
13 あなたは心の中で言った。『私は天に上ろう。神の星々のはるか上に私の王座を上げ、北の果てにある会合の山にすわろう。
14 密雲の頂に上り、いと高き方のようになろう。』
15 しかし、あなたはよみに落とされ、穴の底に落とされる。

  • イザヤは13章と14章にバビロンの滅びを預言していますが、その滅びの理由を記しているのが、14章14~16節の箇所です。
    原文では「どうしてあなたは天から落ちたのか」で始まっています。そして「へーレール(הֵילֵל)・ベン(בֶּן)・シャーハル(שָׁחַר)」と続きます。「ヘーレール」は「ハーラル」(הָלַל)から来たことばで、「輝かす、照らす」という意味です。「シャーハル(שָׁחַר)」は「暁、夜明け」の意。「力と栄光のある者」は「輝く星」(モーニング・スター)と呼ばれていたようです。ちなみに、ヨハネの黙示録2章28節の「明けの明星」はイエス・キリストのことです。
  • 神のしもべとして、一時は、国々を打ち破った輝かしい存在としてのバビロン、そのバビロンがどうして天から落ち、地に倒されたのか。その原因をイザヤは、「あなたは心の中で言った」という事柄の中にあることを示唆しています。つまり、

13 『私は天に上ろう。神の星々のはるか上に私の王座を上げ、北の果てにある会合の山にすわろう。14 密雲の頂に上り、いと高き方のようになろう。』

としたことです。バビロンの王の野心は、自己神格化しようと心の中で計画したことです。主の一切の権威を認めようとはせず、自分が神の地位(座)に置いて、あらゆるものが自分を拝むことを求める支配者となる野心です。これが「高ぶり」であり、しかもこれは、バビロンの王から主に対してしかけた争いだったのです。

  • 「いと高き方のようになろう」というバビロンの思いは、「神のようになりたい」とした神の最高の被造物ルシファー(後のサタン)の思いでもありました。その結果、サタンは天から落とされましたが、そのサタンが神の最も愛する人間を神から引き離すために「それ(木の実)を食べると神のようになれる」と誘惑したのです。その意味ではバビロンの王の高ぶりはサタンの高ぶりと同等のものであり、サタンの化身とも言えます。
  • しかし、イザヤ書14章15節では「あなたはよみに落とされ、穴の底に落とされる。」と告げられます。「よみ」とは「シェオール」(שְׁאוֹל)で、その「シェオール」の最も深い所に落とされることが語られています。すべての没落の兆候は、自分を神格化することからはじまります。使徒の働き12章で「虫にかまれて非業の死を遂げたヘロデ・アグリッパ1世」を、ルカは神に栄光を帰さない「高ぶりの罪」としています。


2013.4.19


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