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ネブカデネザルの見た「大木の夢」と回心

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5. ネブカデネザルの見た「大木の夢」と回心

【聖書箇所】 4章1節~37節

ベレーシート

  • 3章での「大きな金の像」を建てにそれへの崇拝を強要した出来事はネブカデネザル王がユダを完全に征服した頃(B.C.587)でした。続く4章の出来事は、それから15年後、占領地をさらに拡大した全盛期の頃です。ネブカデネザルの心は権力と栄華と共にますます驕り高ぶるばかりでした。そのとき、神が彼に対する取り扱いをなされたのです。
  • 4章は、結果的には、ネブカデネザルの回心とそこに至るまでの回想が記されています。4章の最初と終わりに、彼の「いと高き神」への賛美が記されています。

    【新改訳改訂第3版】
    4:2 いと高き神が私に行われたしるしと奇蹟とを知らせることは、私の喜びとするところである。
    4:3 そのしるしのなんと偉大なことよ。その奇蹟のなんと力強いことよ。その国は永遠にわたる国、その主権は代々限りなく続く。


    4:34 その期間が終わったとき、私、ネブカデネザルは目を上げて天を見た。すると私に理性が戻って来た。それで、私はいと高き方をほめたたえ、永遠に生きる方を賛美し、ほめたたえた。
    その主権は永遠の主権。その国は代々限りなく続く。
    4:35 地に住むものはみな、無きものとみなされる。彼は、天の軍勢も、地に住むものも、みこころのままにあしらう。御手を差し押さえて、「あなたは何をされるのか」と言う者もいない。

    4:36 私が理性を取り戻したとき、私の王国の光栄のために、私の威光も輝きも私に戻って来た。私の顧問も貴人たちも私を迎えたので、私は王位を確立し、以前にもまして大いなる者となった。
    4:37 今、私、ネブカデネザルは、天の王を賛美し、あがめ、ほめたたえる。そのみわざはことごとく真実であり、その道は正義である。また、高ぶって歩む者をへりくだった者とされる。


1. ネブカデネザル王が見た「ひとつの夢」の内容

  • ネブカデネザル王が自宅で「気楽にして」、宮殿で「栄えていた」時に見た夢は、彼をして恐れさせました。ちなみに、新改訳の「気楽にして」は、「安らかに」(口語訳)「健康に恵まれ」(新共同訳)「安心感に浸り」(岩波訳)とも訳されます。また、「栄えていた」は、「安らかに過ごしていた」(新共同訳)「気分爽快で」(岩波訳)と訳されています。
  • 華やかな外見とは裏腹に、王の心の内はさまざまな幻覚と幻に悩まされる日々となります。王の心を脅かし、動揺させるような「ひとつの夢」とは「大木の夢」でした。
  • その「大木の夢」(4:10~12)は、「地の中央にあり、非常に高かった。その木は生長して強くなり、その高さは天に届いて、地の果てのどこからもそれが見えた。葉は美しく、実も豊かで、それにはすべてのものの食糧があった。その下では野の獣がいこい、その枝には空の鳥が住み、すべての肉なるものはそれによって養われた。」(10~12節)と説明されています。
  • そこに、「ひとりの見張りの者」が天から降りて来て、大声で次のように叫びました(13~16節)。「ひとりの見張りの者」とは「聖なる者」とも呼ばれ、おそらく御使いのことだと考えられます。

「その木を切り倒し、枝を切り払え。その葉を振り落とし、実を投げ散らせ。獣をその下から、鳥をその枝から追い払え。ただし、その根株を地に残し、これに鉄と青銅の鎖をかけて、野の若草の中に置き、天の露にぬれさせて、地の草を獣と分け合うようにせよ。その心を、人間の心から変えて、獣の心をそれに与え、七つの時をその上に過ごさせよ。」

  • 根株だけを地に残して完全に切り倒されてしまう木。しかもその残された根株には、鉄と青銅の鎖がかけられ、それが夜露にさらされ、地の草と獣を分け合うようになるという、まことに奇妙な夢です。御使いのこの宣告の目的は17節に記されているように、二つあります。
    (1) いと高き方の主権を知らせるため
    (2) 生ける者にへりくだりを教えるため

2. ネブカデネザルが見た夢を解き明かしたダニエル

  • ダニエルはネブカデネザルの見た夢を解き明かします。前者の「大きな木」の夢の解き明かしは20~22節にあります。それはネブカデネザルの繁栄のヴィジョンです。しかし後者の天から降りてきた「ひとりの見張りの者」が宣告したことばの解き明かしは重要です(25~26節)。

    【新改訳改訂第3版】
    25 あなたは人間の中から追い出され、野の獣とともに住み、牛のように草を食べ、天の露にぬれます。こうして、七つの時が過ぎ、あなたは、いと高き方が人間の国を支配し、その国をみこころにかなう者にお与えになることを知るようになります。
    26 ただし、木の根株は残しておけと命じられていますから、天が支配するということをあなたが知るようになれば、あなたの国はあなたのために堅く立ちましょう。

  • つまり、ダニエルの解き明かしによれば、地に植えられた大木が切り倒され、その根株だけが残されるというのは、繁栄して驕り高ぶっていたネブカデネザル王が神に打たれて、へりくだる者となるというメッセージだったのです。そして、ダニエルが解き明かしたことが、12ヶ月後に実際に起こったのです(28~33節)。「七つの時」の後に、王に「理性が戻り」、真の悔い改めがなされたときに彼の王位は回復され、「以前にもまして大いなる者となった」(36節)のでした。そして、神をほめたたえる賛美の言葉が出て来たのです。
  • いくつかのことばの意味
    (1)「十二か月」(29節)・・悔い改めるべき猶予期間として与えられた。
    (2)「七つの時」(16, 23, 32節)・・七年、あるいは特定の期間の意。
    (3)「理性が戻る」(34, 36節)・・物事を悟り、正しい判断をする能力が回復したことを表わす。


2013.8.14


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