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ダビデの行く先々で、勝利を与えられた主

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18. ダビデの行く先々で、勝利を与えられた主

【聖書箇所】Ⅰ歴代誌 18章1~17節

ベレーシート

ダビデが戦った周辺諸国.JPG
  • 18章~20章までは、ダビデが戦いに勝利する王が描かれています。Ⅱサムエル記9~20章とは異なり、歴代誌はダビデの失敗等の記録については一切省略しています。歴代誌それ自体が、イスラエルにおける神の王国の確立を果たしたダビデの貢献を取り上げようとしているからです。
  • 16章において、神の箱をエルサレムに安置したダビデに対する預言が17章にあります。そこには、「ダビデ契約」という、神の王座がダビデの王国に永遠にあることを約束する無条件の契約が語られました。そして18章はダビデが王として周辺諸国と戦って勝利したことが記されています。

1. こうして、主は、ダビデの行く先々で勝利を与えられた

ダビデが戦った周辺諸国.JPG
  • イスラエルにおいて王制が求められたのは、周辺諸国からの脅威があったからでした。特に、ペリシテは軍事国家であり、イスラエルに対して常に脅威でした。そうした脅威に対して、ダビデは真の王である主にその都度、その都度、戦略と戦術を教えてもらいながら、連戦連勝を重ねていきます。西のペリシテを屈伏させ、東のモアブを打ってダビデのしもべとし、貢物を納めさせました。また、北のハマテの南にあるツォバとアラムに対しても、ダビデのしもべとして貢物を納めさせました。また、南のエドムに対しても同様にダビデのしもべとしています。
  • ダビデは、異邦の民(エドム、モアブ、アモン、ペリシテ、アマレク人)と戦って得た戦利品、同時に、北のツィバと敵対関係にあったハマテからの祝福の贈り物もともに、すべてを、主に聖別してささげました。また、こうした戦利品には、やがてソロモンの時代に神殿建設計画にも貢献し、青銅などは神殿の装飾に使われています。
  • イスラエルは戦いにおいて平和(シャローム)をもたらしました。領土を広げただけでなく、経済的にも非常に豊かな国となって行きます。

2. ダビデの統治の特徴は「公正」と「正義」

  • ダビデのイスラエルの民に対する統治の特徴を表わしている箇所が14節にあります。

    【新改訳改訂3版】
    ダビデはイスラエルの全部を治め、その民のすべての者に正しいさばきを行った。
    【新共同訳】
    ダビデは王として全イスラエルを支配し、その民すべてのために裁きと恵みの業を行った。
    【岩波訳】
    ダビデは全イスラエルを治め、そのすべての民に公平と正義を行った。

    【ヘフル語原文】
    ●太字の部分に使われている語彙は、「ミシュパート」(מִשְׁפָּט)と「ツェダーカー」(צְדָקָה)です。岩波訳が正確に訳しているように思います。

  • ダビデの統治能力は神の統治の反映と言えます。ダビデ契約で約束されたダビデから出るメシアの統治の基本も「公正」と「正義」です。イザヤ書9章6~7節にあるメシア預言にはこう示されています。「ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。…主権はその肩にあり、・・その主権は増し加わり、その平和は限りなく、ダビデの王座に着いて、その王国を治め、さばきと正義によってこれを堅く立て、これをささえる。今より、とこしえまで。・・」
  • 「さばき」(公正)と「正義」、これが「ミシュパート」(מִשְׁפָּט)と「ツェダーカー」(צְדָקָה)です。ダビデの統治はメシアの統治の写しであり、そこにダビデの王座の永遠性があります。

3. ダビデの統治のエピソード

  • ダビデの統治において、ひとつのエピソードが聖書(Ⅱサムエル記30章)に記されています。それは以下のとおりです。

    ペリシテの領主の一人アキシュのもとに身を寄せたダビデは、イスラエルとの戦いへの参戦を余儀なくされます。しかし実際は、ペリシテの他の領主たちがダビデを信用しなかったために、結果的には参戦しなくとも良くなったのですが、戦いのために遠出している最中に思わぬ事態が起こっていました。それは、自分も部下たちも大切にしている家族や財産がアマレク人によってすべて奪われ、町も火で焼かれたのです。今までのすべての苦労が一瞬にして崩壊した出来事でした。ダビデはこのとき、「非常に悩んだ」とあります(Ⅰサムエル30:6)。それは部下たちを悩ませた責任だけでなく、部下たちが自分を石で撃ち殺そうと言い出したことを聞いたからです。これまで培ってきたリーダーシップとフォロアーシップ、部下たちからの厚い信頼、将来の夢と希望が消え失せて、怒りがダビデに向けられてしまったかたちです。

    そのような窮地の中で、ダビデは自分の神、「主によって奮い立った」のです。救出劇の要に、神が備えられたとしか言いようのない一人の人との出会いがありました。追撃を続けるダビデとその一行は、ひとりのエジプト人を野原で見つけます。三日三晩もパンも食べず、水も飲んでいなかったこの人はアマレクの奴隷でしたが、病気になったために、主に見捨てられ置き去りにされてしまったのでした。この人が、ダビデたちを略奪隊のもとに案内したのです。この人との出会いによって、ダビデたちは失ったすべてのものを奪い返しただけでなく、多くの分捕り物をも得たのです。

    失ったと思われた大切な家族や財産がなにひとつ失われなかったということも驚くべきことですが、それに加えて、敵から得た分捕り物を、参戦した者たちだけでなく、残っていた仲間にももれなく平等にそれを配分したことでダビデの指導者としての信頼はより強くなったのです。ここにダビデの統治の特徴があります。「公正」と「正義」です。この統治力によって、ダビデに対する信頼は回復され、以前にも増して強固にされたのです。

  • キリストの再離後に実現するメシア王国(千年王国)におけるメシアの統治の基本もイザヤ書に預言されているように、同じく「公正」と「正義」です。それゆえ、御国の民はみなこの王であるメシアを慕うようになるのです。

2014.1.18


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