****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

Ps118その他

「いつくしみ」と「恵み」、「楽しみ」と「喜び」はワン・セット


1. 「いつくしみ」と「恵み」

  • 詩118篇は冒頭と結部にある定型句ー「主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで。」に挟まれる形になっています。この定型句は神の奇しいみわざを歴史化した詩篇にある特徴的な表現です(106:1/107:1/118:1, 29/136:1/100:5)。この「定型句」の中に神の救いの歴史は包括されていると言っても過言ではありません。
  • しかも、この定型句にある「いつくしみ」と「恵み」はそれぞれ単独で用いられますが、しばしばワン・セットでも用いられます。「いつくしみ」はヘブル語でトーヴטוֹב、英語ではgoodと訳されます。一方の「恵み」のヘブル語はヘセド(חֶסֶד)、英語ではlove, constant love, steadfast loveと訳されます。変わることのない愛、確固とした愛、不変の愛を表わします。
  • 新改訳では「トーヴ」(טוֹב)は「いつくしみ」と訳されていますが、新共同訳では「恵み」と訳されています。また新改訳の「恵み」は、新共同訳では「慈しみ」と訳されています。全く逆のように訳されています。混乱を招きかねませんが、これらのことばを使うときには、分かち合う者たちがどの聖書を使っているかを考慮しながら、明確に意識して使う必要があります。
  • いずれにしても、「トーヴ(טוֹב)」と「ヘセド(חֶסֶד)」は、しばしばワン・セットとして用いられていることです。詩23篇でも、神の私たち人間に対するかかわりの結論を「まことに、私のいのちの日の限り、いつくしみと恵みとが、私を追って来るでしょう。」(23:6)とダビデは記しています。
  • 主は常に「良い方」であり、常に変わることのない愛をもってかかわってくださっていることを私たちは確信する必要があります。「家を建てる者たちに捨てた石。それが礎の石になった」イエス・キリストの十字架の死とよみがえりのみわざに象徴されるように、大きな出来事のみならず、私たちのごく日常的な事柄の中にもそうした神の配慮を見つけ出す者は幸いです。なぜなら、私たちが気づいても気づかなくても、私たちの日々の歩みの中に神の「いつくしみ」と「恵み」は、絶えることなく、継続的に注がれているからです。

2. 「楽しみ」と「喜び」

  • 詩118篇24節に見られる「この日を楽しみ喜ぼう」にある「楽しみ」と「喜び」もしばしばワン・セットで用いられます。ここで使われていることばはどちらも動詞です。「楽しむ」はヘブル語でギール(גִיל)。英語ではjoy, rejoice, glad です。一方の「喜ぶ」はヘブル語でサーマハ(שָׂמָח)。英語ではrejoice, be gladです。
  • 詩97篇は「主は王である」という一連のテーマを持つ詩篇の一つですが、その王がこの地上に目に見える形で来られるとき、王である主を信じる者たちが主を見て、喜ぶように招かれています。詩97篇では喜びを表す動詞が6回使われています。1節の他に、8節「シオンは聞いて喜び(שָׂמַח)、ユダの娘たちもこおどりしました(גִּיל)。」
  • 「楽しみ」も「喜び」は、すでにキリストのよみがえりを通して種のように蒔かれています。しかしそれが最大限に開花するのはキリストの再臨の時です。「光」ー啓示の光、いのちの光、愛の光、悟りの光ーすでにそれは種のように蒔かれているのです。「喜び」の種もすでにキリストにある者たちの心の中に蒔かれています。そしてそれらの種はやがて芽吹き、大きな喜びの花を咲かせるのです。
  • 「喜ぶ」と訳された「サーマハ」(שָׂמַח)いう動詞は旧約で154回、そのうち詩篇が52回と最も多く、しかも複合語として使われています。「楽しむ」も「喜ぶ」も、それは自発的な心であり、何者によっても強制されたりしてできることではありません。それゆえ、「喜び」とは単なる感情的なものではなく、存在論的、人格的交わりによるものといえます。つまり、愛に支えられた喜びです。しかもそれはやがて完成する「御国」における基調なのです。
  • イエス・キリストは常にこの「喜び」をもっており、弟子たちにも分かち与えようとされました。ヨハネの福音書15章11節「わたしがこれらのことを話したのは、『わたしの喜びがあなたがたのうちにあり、あなたがたの喜びが満たされるためです。』」とあるとおりです。御子イエスにとっての喜びは、御父の「わたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ」という永遠の愛のかかわりにあったことを忘れてはならないと思います。

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