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3.ネヘミヤ記の構造と概要

歴史書(2)」の目次

3. ネヘミヤ記の構造と概要

 

(1) 構 造

1章~7章4節7章5節~13章
エルサレム城壁の再建エズラ・ネヘミヤによる民の再建


  • 第三次帰還>を率いたのは、祈りの人と言われるネヘミヤであった。彼はペルシャ王アルタクセルクセス一世の高官・献酌官であった。エルサレムの城壁が崩れたままの荒れ果てた現状を知らされ、4ヶ月の祈りが聞かれて、大胆にも王に直訴する機会に恵まれた。ネヘミヤは王から全権を委任され、ユダの総督として、エルサレムの町と城壁の再建のために、護衛つきで派遣されたのである。BC444年のことである。ペルシャ支配からユダヤ人は行政権を持ってはいなかった。サマリヤの州の一部に過ぎず、これが常に不穏な状況を作り出していた。行政権をもった州として独立するには城壁によって守られた首都を持たなければならなかった。
  • ペルシャがネヘミヤを派遣したのは、このような事情のもとであった。ちなみにユダヤ人を虐殺(ホロコースト注1)しようとする陰謀を打ち砕いたエステルは、第一次帰還後の60年後にダリヨス王の後継者であるクセルクセス一世(アハシュエロス)の王妃となっており、ペルシャ王宮内で、このころも生きていてその影響力を行使していたのかも知れない。

(2) 概 要

① 城壁の再建(1章~7章5節)・・ネヘミヤのリーダーシップ

  • 神殿が完成してから70年後に城壁が再建された。しかしこの事業においても、神殿建設と同様、敵の妨害を余儀なくされた。しかしネヘミヤは祈りをもってこれに対処し、戦っていく。ネヘミヤを通してリーダーシップについて多くを学ぶことができる。
    a. 誠実さという資質・・・ネヘミヤが献酌官であったという事実ⅰ(1章)
    • 権威に従うという訓練の必要・・ネヘミヤは自分の置かれたところで忠実に仕えた。
    • 王から信任されていた・・それゆえ献酌官として抜擢された。

b.現実を正しく認識し、問題を自分の重荷と受け止める・「泣き、・断食して祈った」

  • 現実の問題を正しく認識すること。
  • 神の御名が辱められているという現実に対する聖なる憤り。
  • 現実の問題を自分の問題として捉えた。神の家は連帯的なものである。

c. 祈りの力を知っている・・・・門は開かれる

  • 問題を神の御前に持って行った。リーダーとしての働きはまず祈りからの出発である。
  • 祈って待つことの重要性を知る。ネヘミヤは四ヶ月待った。そして答えがきた。(2章)

d. 戦いに備える (2章)

  • 神のみこころがなされるときには、必ずといっていいほど反対が起こることを予測し、その戦いに備えなければならない。
  • 周到な準備・妨げを防ぐための極秘の調査、行動計画を立てるための十分な時間と現実を正しく認識するための正確な情報を得る。
  • 動機づけ。これは人を動かしていくためのリーダーの最も重要な責務である。動機づけは、良いフォロアーシップを生み出す。2章18節。

e. 組織力 (3章)

  • 目標を達成するために、メンバー全員を参加させる能力。
  • 目標を達成するために、持ち場の各リーダーに必要な権限と責任を委任する能力。
  • メンバー間の意思の疎通や、指示系統の一元化をはかる能力。
  • メンバーの協力体制を整え、意欲をもり立てる能力。

f. 危機管理能力 (4章、5章)

  • 批判に対処する能力
  • 常に最悪に備える心構えをする
  • 冷静さを保つ

②神の民の再建・・ネヘミヤ記8章~13章

  • 「こうして、城壁は五十二日かかって、・・完成した」(6章15節)とあるように、城壁再建という神の事業は完成したが、それはいわば外枠だけであり、神の事業はそれによっては終らない。さらに困難な神の民の再建という事業が待っている。ネヘミヤのリーダーとしての働きは、建物ではなく、神の民そのものに向けられていく。神の民を神のために民を教育すること、これが最も大きな課題であり、チャレンジであった。
  • 神のみことばによる神の民の育成は今日的課題でもある。つまり、キリスト者の弟子化である。使徒の働き20章32節「いま私は、あなたがたを神とその恵みのみことばとにゆだねます。みことばは、あなたがたを育成・・することができるのです」とあるように、みことばは育成する力をもっている。Ⅱテモテ3章15~17節「聖書は、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益」それは、「神の人が、良い働きのために十分に整えられた者となる」ためである。みことばに熟練した人が育つのにどのくらの時間がかかるだろうか。

(3) 神のことばによる人材教育

  • ネヘミヤはまず神のことばを出発点とした。この目標達成のために、ネヘミヤは律法学者のエズラを起用した。本格的な神の民の再建はエズラのリーダーシップにゆだねられた。

①みことばを聞く訓練 (聞くことは、従うこと)

  • a. 朝から昼まで・・民は起立して律法の朗読を聞いた。(8章1~8節)
  • b. エズラをサポートする祭司たちの存在・・チームとしてのミニストリー
  • c. 神のことばの解き明かしをするレビ人の存在    

②民たちに主を見上げさせ、主を喜ぶことの訓練(8章10節)

  • 「主を喜ぶことはあなたがたの力です」・・・ピリピ書における「喜び」の教訓
  • a. 環境に支配されない喜び(ピリピ1章)
  • b. 人々の存在に支配されない喜び(ピリピ2章)
  • c. ものに支配されない喜び(ピリピ3章)
  • d. 思い煩いに支配されない喜び(ピリピ4章)

③神との個人的契約を交せる教育・・〔盟約〕(9章~10章39節)

  • a.神との悔い改めの実を結ばせる。8章9節では「みな泣いていた」とある。神のみことばによって自分の罪、汚れを知らされることなしに悔い改めは起こらない。信仰生活における悔い改めの重要性(使徒20章21節)。ネヘミヤ9、10章は、神の民の悔い改めの実として盟約を結んだいきさつが記されている。
  • b. 盟約とは何か(口語訳聖書では契約となっている)
    盟約とは、神の契約に対する人間の主体的な、自覚的な、自発的な<誓い>という面が強調されている。「印を押す」ことによって公の文書とした。
  • c. 民をして盟約に至らせたものは何か。・・9章38節「これらすべてのことのゆえに」に関係がある。その前の賛美と祈りは「神が民に対して何をされたか」「神の民が神に対して何をしてきたか」が言及され、その結論は33節「あなたは誠実をもって行なわれたのに、私たちは悪を行なった」という告白により悔い改めて神に立ち帰った。 
  • d. 盟約の内容
    • 神の民の価値観を持って生きることの告白・・雑婚の禁止(10章30節)
    • 礼拝の重視の告白(31節) ・・・ 安息日の厳守(31節)
    • 愛を持って生きることの告白・・安息年の規定を守ること(31節)
    • 神の宮の働きのためのささげもの告白・・初物ささげることと十分の一献金(32節)
  • これらの盟約はすべて「神の宮をなおざりにしない」という一語に要約できる。この盟約が当初、すべて神の恵みと感謝によるわざとして行われたところにいのちがある。これが形骸化するところに律法主義が生まれる。
  • エルサレムでの城壁奉献式が済んで、ネヘミヤはしばらくの間ペルシャ王のもとへ帰っていった。しかし13章4節以降には、そのネヘミヤが12年ぶりに再びエルサレムに帰ったときには、10の盟約は反古になっていた。以下、三つの不祥事があった。

a. 神の宮に仕えるレビ人への給与が与えられないと言う事態の発生。
b.安息日の形骸化。
c.異邦の民との結婚の拡大(信仰継承の危惧)

  • これに対するネヘミヤの対応は厳しいものであった。しかしながら、ネヘミヤ記を通して神の民の再建という事業はいかに難しいものであるかを思わせられる。それは神殿の再建、城壁の再建のように、1回限りのものではなく、聖なる神の民としての絶えざる<聖別の戦い>を余儀なくされるからである。そしてそれは、救い主の待望を指向しているといえる。

注1
●ホロコースト(holocaust)は、ギリシャ語の「ホロ」、「完全に」に由来し、「コースト」は「焼き尽くす」に由来する。現代では、ナチスドイツによって第2次世界大戦前・中に行われたユダヤ人大虐殺を指す。ヒトラー率いるナチスは約600万人のユダヤ人をガス室送りにするなどして殺害した。


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