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第八の幻(四台の戦車)と戴冠の象徴的意味


6. 第八の幻(四台の戦車)と戴冠の象徴的意味

【聖書箇所】 6章1節~15節

ベレーシート

  • 第一から第八までの幻が意味することは、結論的に言うならば、イスラエルの民が神に帰り、神も彼らに帰ることが実現するためのプロセスやその方法についての預言であるということです。神と民とがひとつになるというインマヌエルのヴィションは「神殿」において現わされています。第二神殿の再建は、同時にやがてキリストの再臨によって実現する第四神殿の再建も重ねられて語られています。繰り返して、「メシア的預言」が含まれているのです。その点を心に据えておく必要があります。

1. 第八の幻の特徴とその意味すること

(1) 「四」という数字の象徴的意味

  • 第八の幻には「」という数字が重要です。「四台」の戦車、「四方」に向かう風という表現が見られますが、「四」は「すべてのもの」「全体」を象徴する数字です。ゼカリヤ書6章では「異邦人諸国のさばきを示す」ものとして、全地の主の前から出て行く四台(四両)の戦車、すなわち「天の四方に向かう風(霊)」として現われています。

(2) 二つの山の間から(1節)

  • 「四台の戦車」は「二つの山の間から出て来」ます。この二つの山とはシオンの山とオリーブの山で、その間といえば共同墓地のある「キデオンの谷」であり、そこはまた「ヨシャパテの谷」とも呼ばれます。というのは、「ヨシャパテ」とは「神が裁かれる」という意味だからです。そこでは諸国の民に最後的なさばきが下される場所でもあります。そこから四台の戦車が出て来ること、さらにこの二つの山がさばきの象徴である「青銅」の山と呼ばれているのは、神のさばきが断固として行われることを示しています。

(3) 四台の戦車を引くそれぞれの馬の派遣

  • 第一の戦車を引くの「赤い馬」、第二の戦車を引くのは「黒い馬」、第三の戦車を引くのは「白い馬」、第四の戦車を引くのは「まだら毛の強い馬」です。ところが、6節以降を見ると、第一の戦車を引く「赤い馬」についての説明がなく、第二の戦車を引く「黒い馬」が北の地へ出て行ったことが記されて、次いで「白い馬」が、そして「まだら毛の馬」が南の地へと駆け巡ります(派遣されます)。
  • この幻の解釈としては、四台の戦車はダニエル書7章1~3節に出て来る四頭の獣(異邦人による強国)と関連して、世界に広がる帝国をさばくというものです。ゼカリヤの時代にはすでにバビロンがさばかれて存在していませんので、「赤い馬」は遣わされていません。「黒い馬」が遣わされたところは「北の地」ですから、この北はペルシアを指していると考えられます。こうような解釈に立てば、白い馬は「ギリシア」、「まだら毛の馬」はギリシアの覇権をとどめようと協力したエジプトとローマとも考えることができるかも知れません。いずれにしても、神の支配と統治が全世界におよんで行くことを示していると言えます。

2. 王冠の戴冠の宣言(9~14節)

(1) 王冠の制作

  • バビロンから帰還した三人からささげられる金と銀をもって、ゼパニヤの子ヨシヤのところに行くようにゼデキヤは命じられます。ヨシヤもまた捕囚から帰還した者の一人でした。おそらくヨシヤは王冠を造る技術者であったと考えられます。彼と協力して王冠を造り、それを大祭司ヨシュアの頭にかぶらせて、彼に次のことばを宣言するよう命じます。

    【新改訳改訂第3版】ゼカリヤ書 6章12~15節
    12 彼にこう言え。『万軍の【主】はこう仰せられる。見よ。ひとりの人がいる。その名は若枝。彼のいる所から芽を出し、【主】の神殿を建て直す。
    13 彼は【主】の神殿を建て、彼は尊厳を帯び、その王座に着いて支配する。その王座のかたわらに、ひとりの祭司がいて、このふたりの間には平和の一致がある。』
    14 その冠は、ヘルダイ、トビヤ、エダヤ、ゼパニヤの子ヨシヤの記念として、【主】の神殿のうちに残ろう。

  • 王冠は大祭司の頭にかぶせられ、その後、その冠は「ヘルダイ、トビヤ、エダヤ、ゼパニヤの子ヨシヤ」の記念として再建された神殿の中に設置されます(14節)。この名前の羅列はいったい何を意味するのでしょうか。名前の意味するとことを並べてみましょう。
    ヘルダイ」(ヘブル語ではヘーレム(חֵלֶם)は、「力ある者、健全なもの」
    トビヤ」(טוֹבִיָּה)は、「主はいつくしみ深い」
    エダヤ」(יְדַעְיָה)は、「主は知り給う」
    ヨシヤ」(ヘブル語ではヘーンחֵן)は、「神の寵愛」
    という意味です。これらの名前の意味するところを並べてみるなら、そこには神殿を建て上げる者にふさわしい祭司の霊性が示されていると言えます。それらが意味する記念の冠として神殿に中に置かれたのです。

(2) 戴冠の霊的な意味

  • 戴冠の宣言で重要なのはその霊的意味です。真の主の神殿を建て直すのは「ひとりの若枝」だと宣言されていることです。「若枝」とはメシアの称号です。この若枝は、王であると同時に大祭司であるという存在です。本来ならば、王の系譜はユダ族で、大祭司の系譜はレビ族です。しかもアロンの直系でなければなりません。ところが、王と祭司の二つの資格を持っていた人物が歴史の中に登場しています。それは「メルキゼデク」です。彼の系譜からこの二つの役職を担う人物が生え出るのです。それは「イェシュア・メシア」です。
画像の説明
  • ちなみに、ここの「若枝」の原語は「ツェマハ」で、ゼカリヤ書3章8節にも登場したメシア的称号の語彙です。旧約では12回。「生える、芽生える、萌え出る、若枝」という意味。他にも「若枝」を意味する次のような語彙があります。
    ホーテル」(הֹטֶר)ー例イザヤ11:1、
    ネーツェル」(נֵצֶר)ー例イザヤ11:1、ダニエル11:7、
    ヨーネーク」(יוֹנֵק)ー例イザヤ53:2
  • この戴冠の宣言は、狭義的には第二神殿を建てることに関してですが、広義的には14~15節はメシアの再臨において実現することになります。

    15 また、遠く離れていた者たちも来て、【主】の神殿を建て直そう。このとき、あなたがたは、万軍の【主】が私をあなたがたに遣わされたことを知ろう。もし、あなたがたが、あなたがたの神、【主】の御声に、ほんとうに聞き従うなら、そのようになる。

  • ここには「遠く離れていた者たち」(異邦人に対するユダヤ的婉曲表現)とあるように、異邦人も主の神殿の建設に携わるという驚くべき預言です。これはハガイ書2章7節においても語られていたことでした。

    【新改訳改訂第3版】ハガイ書2章7~9節
    7 わたしは、すべての国々を揺り動かす。すべての国々の宝物がもたらされ、わたしはこの宮を栄光で満たす。万軍の【主】は仰せられる。
    8 銀はわたしのもの。金もわたしのもの。──万軍の【主】の御告げ──
    9 この宮のこれから後の栄光は、先のものよりまさろう。万軍の【主】は仰せられる。わたしはまた、この所に平和を与える。──万軍の【主】の御告げ──


2013.9.25


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