礼拝用語Ps35
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詩35篇 「楽しむ」שִׂישׂ スィース שׂוּשׂ スース
〔カテゴリー 賛美・感謝〕
9節a「こうして、私のたましいは主にあって喜び(גִיל)
9節b「御救いの中にあって楽しむ(שִׂישׂ)ことでしょう。」
Keyword; 「楽しむ」rejoice, delight 19:5/35:9/40:16/68:3/70:4/119:14, 162
- 「スィース」(שִׂישׂ)、「スース」(שׂוּשׂ) 、いずれも「喜び」「楽しみ」を表わすことばです。旧約で27回、詩篇では7回、神の救いの基調は、「喜び」と「楽しみ」です。特にイザヤ書では9回も使われ、終末における喜びを表わす語彙として使われています。(イザヤ35:1/61:10, 10/62:5/64:5/65:18, 19/66:10, 14)
- 「救いを喜び、楽しむ」ということはどういうことでしょうか。「喜ぶ」とは神に愛されていることの存在論的喜びであるとすれば、「楽しむ」とは、それを実際的に、現実的に味わうということかもしれません。それはある意味で「遊び」の世界です。神の国の祝福は、神の大庭の中で「遊ぶ」ことができるということです。様々な規律に縛られ、拘束されているところには「遊び」はなく、喜びや楽しみといった解放感や自由さが見られません。
- 詩篇の中には「喜びと楽しみ」ということばがあふれています。たとえば、ワンセットとして使われている例として、
「私は、いつも、私の前に主を置いた。主が私の右におられるので、私はゆるぐことがない。それゆえ、私の心は喜び、私のたましいは楽しんでいる。私の身もまた安らかに住まおう。」(詩篇16:9)
「あなたは私に、いのちの道を知らせてくださいます。あなたの御前には喜びが満ち、あなたの右には、楽しみがとこしえにあります。」(詩篇16:11)
「あなたの恵みを私は楽しみ、喜びます。」(詩篇31:7)
「正しい者たち。主にあって、喜び、楽しめ。」(詩篇32:11)
「私のたましいは、主にあって喜び、御救いの中にあって楽しむことでしょう。」(詩篇35:9)
「あなたを慕い求める人がみな、あなたにあって楽しみ、喜びますように。」(詩篇40:16 /70:4)
- 「喜びと楽しみ」の極めつけは小羊と教会との婚姻です。「私たちは喜び楽しみ、神をほめたたえよう。小羊の婚姻の時が来て、花嫁はその用意ができたのだから。」(黙示録19:7)
- 与えられた時間、与えられた賜物、与えられたチャンス、与えられた立場などを「楽しむ」ということは一つの能力ではないかと思います。礼拝や、賛美、主に仕えること、人に仕えることの中に「聖なる遊び」が必要であり、生きた礼拝や賛美にもそれが必要です。なぜなら、「聖なる遊び」の中でより創造的なものが生み出されてくるからです。やがて訪れるメシア王国においてはそのことが実現するのです。
- 新約時代の「聖霊に満たされた人」という表現は、神の大庭で遊ぶ「遊び人」と言い換えても過言ではありません。神との親しいかかわりに支えられながら、そのかかわりを楽しむことができる人です。さまざまな既存の枠にとらわれることなく、いのちに満ち溢れた発想をすることができる人だと信じます。
- ところで、詩35篇には「喜びを表す動詞」―歓喜用語が数多くみられます。
9節「・私のたましいは、主にあって喜び(גִיל)、御救いの中にあって喜ぶ(שׂוּשׂ)ことでしょう。」
18節「私は大きな会衆の中であなたに感謝し(יָדָה)、強い人々の間であなたを賛美します(הָלַל)。」
27節「私の義を喜びとする(חָפֵץ)者は、喜びの声を上げ(רָנַן)、楽しむ(שָׂמַח)ようにしてください。彼らに言わせてください。『ご自分のしもべの繁栄を喜ばれる(חָפֵץ)主は、大いなるかな』」
28節「私の舌は、あなたの義とあなたの誉れを、日夜、口ずさむ(הָגָה)ことでしょう。」
- 整理してみると、
①「ギール」(גִיל)
しばしば「サーマハ」(שָׂמַח)とセットで用いられ、「喜び楽しむ」という意味。Joyful 21:1/35:9/89:16
②「スース」(שׂוּשׂ )
「喜び」「楽しみ」を表わすことばです。「スィース」(שׂישׂ)も同義。
③「ヤーダー」(יָדָה)
本来「投げる」という意味があり、そこから、神に視線を向け、神に向って投げるものは、賛美であり、感謝、そして信仰告白ということになります。「ほめたたえる、感謝する、告白する、あかしする、言い表す、称賛する、たたえる」と訳されます。
④「ハーラル」(הָלַל)
もとの意味は「輝く、光を放つ」です。いわば爆発的な喜びをもって、感謝をもって、声を張り上げて、叫ぶようにして神をたたえるという意味合いをもつことばです。
⑤「ハーフェーツ」(חָפֵץ)
おのずから、愛する、気にいる、慕う、楽しむ、良しとするという意味があります。主の愛に促された自発性の意味合いの強い言葉。
⑥「ラーナン」(רָנַן)
声高らかに歌う、喜び歌う、声高く歌う、喜びの歌を高く上げる、喜びの声を上げるなど、「喜び」が基調にある歌を意味します。
⑦「サーマハ」(שָׂמַח)
単なる感情的な「喜び」ではなく、神に愛されているという存在論的、人格的交わりによる喜びを意味します。
⑧「ハーガー」(הָגָה)
本来の意味は、「うめく」「つぶやく」「声を出す」「ささやく」「親しく語る」「考える」「思う」です。旧約の詩人にとって、神とそのみことば、あるいは、御業は口を用いて言い表すことに直結されていたようです。