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戦いに勝利したダビデの勇士たち

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20. 戦いに勝利したダビデの勇士たち

【聖書箇所】Ⅰ歴代誌 20章1~8節

ベレーシート

  • 20章では、東側のアモンと戦いと、西側のペリシテの戦いにおいて、「ダビデはエルサレムにとどまっていた」(20:1)とあります。この時期に、バテ・シェバとの密通とウリヤの殺害事件が起こりますが、Ⅰ歴代誌はそのことにふれていません。常に、戦いの先頭に立ってきたダビデですが、ダビデがエルサレムにとどまっていた理由として考えられることは、並行箇所であるⅡサムエル記21章17節によれば、ダビデの部下たちが、以下のように、ダビデに誓わせていたということです。

    【新改訳改訂第3版】
    「あなたは、もうこれから、われわれといっしょに、戦いに出ないでください。あなたがイスラエルのともしびを消さないために。」

  • このような背景があって、20章の戦いではダビデはエルサレムにとどまっていて戦いに出ていません。戦いが勝利してから出向いているようです。20章では、むしろダビデの勇士たちの活躍が記されているのです。

1. アモン人に対する勝利

  • この戦いを勝利に導いたのはヨアブでした。そしてアモン人の地を荒らして、さらに進んでラバを包囲し、そこを打ち、破壊しました。「ラバ」という地名は、ヘブル語の「大きな、増大しつづける」という意味を持つ「ラッバー」(רַבָּה)に由来します。町の大きさだけでなく、そこにある財の豊かさも法外なものであったと言えます。その証拠に、ヨアブは「ラバ」の王から奪った宝石がはめ込まれた王冠(脚注1)をダビデの頭に置いただけでなく、非常に多くの分捕り物を得たのでした。


2. ペリシテのラファの子孫との戦い

  • 西側のペリシテにいる「ラファ」の子孫との戦いが記されています。またその戦いに勝利したダビデの勇士たちの名前が記されています。
  • ここで目に留まるのは、「ラファ」という言葉です。新改訳では「ラファ」と訳されていますが、口語訳では「巨人」、新共同訳では「レファイム」(רְפָאִים)と訳しています。NKJVでは“a giant”と訳しています。創世記14章5節、15章20節には、この「レファィム人」についてすでに言及されています。
  • かつてモーセの率いるイスラエルが約束の地に入る前に、バシャンの王オグとも戦ったとありますが、その「オグ」がレファイムの子孫でした(ヨシュア記12:4)。ですから、申命記3章13節では「バシャンの全土はレファイムの国と呼ばれている」とあります。オグだけが「レファィム」の生存者として残っていたのです。オグの寝台は鉄の寝台、それはアモン人の「ラバ」にありました。なんとその寝台の長さは4メートル近くもあり、幅は1.7メートルの大きさです(申命記3:11)。
  • ダビデの勇士たちが三人のレファィム人を「打ち殺した」ことが記されています(Ⅱサムエル21:22/Ⅰ歴代誌20:4, 5, 6)。

画像の説明

  • ダビデの勇士たちはダビデが巨人ゴリアテを倒したことを聞いていたに違いない。ここではダビデではなく、ダビデの勇士たちが彼らを打ち倒したことが記されているのです。


脚注1

●「宝石がはめ込まれた金の冠」が出て来ていますが、聖書で「金の冠」をかぶった(かぶる)人物について記さています。
(1) モルテカイ
彼はペルシャにおいて、ユダヤ人絶滅計画を計ろうとしてハマンからユダヤ人を救ったユダヤ人です。彼はメシアの型です。

【新改訳改訂第3版】エステル記8章15~16節
15 モルデカイは、青色と白色の王服を着、大きな金の冠をかぶり、白亜麻布と紫色のマントをまとって、王の前から出て来た。するとシュシャンの町は喜びの声にあふれた。
16 ユダヤ人にとって、それは光と、喜びと、楽しみと、栄誉であった。

●他に金の冠をかぶる人物は、詩篇21篇3節にある「彼」は「王」であり、メシア的王を預言的に啓示しています。また、ヨハネの黙示録の4章4節では、御座の回りにいる白い衣を着た24人の長老たちが金の冠を頭にかぶっています。この24人の長老たちについてはいろいろな解釈がありますが、神のために殉教した者たちを代表していると考えます。しかし彼らが礼拝するときにはその金の冠を御座の前に投げ出しているのです。

●黙示録には他に二箇所(9:7, 14:14)に「金の冠」をかぶった存在が登場していますが、その存在はさばきと収穫をもたらす再臨のメシアが預言されていると解釈できます。

2014.1.23


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