恩寵用語Ps48
Ⅱ/A(42~72篇) | テキストPs48 | 原典テキストPs48 | 瞑想Ps48/A | 瞑想Ps48/B | 礼拝用語Ps48 | Ps48の「かかわりの構造」 |
詩48篇「堅く建てる」 כּוּן クーン
〔カテゴリー統治〕
8節「万軍の主の都、われらの神の都で。神は都を、とこしえに堅く建てられる。」
Keyword; 「堅く建てる」 establish, 旧約216回、詩篇52回
- 詩48篇は「シオン賛歌」(他に、50, 87, 99, 132~134, 137, 146篇)の中の代表的な詩篇です。シオンは神にとってきわめて特別な町です。なぜなら、そこは神ご自身が選び、ご自身の名を地上においた唯一の場所だからです。シオンはエルサレムの別名です。またシオンは、「聖なる山」(1節)、「大王の都」(2節) 、「神の都」(1, 8節)、「万軍の主の都」(8節)、「都」(8節)、「宮」(9節)、「宮殿」(3,13節)とも言い換えられています。そこは、かつてダビデがイスラエルの王となった後に、神の臨在の象徴である契約の箱を安置する幕屋を設置した場所です。神ご自身が「全地の喜び」「麗しさの窮み」として選ばれた場所です。
- 神はシオンを祝福の基として、そこから全世界に祝福を注がれます。やがて、シオンが神の都として全世界の中心として再建されるべき時が来ます。1948年のイスラエルの建国はその歴史的な証であり、神の救いのご計画の最終段階に入ったことを指し示す出来事です。シオンが再建される時、すべての国々が神の王国に包み込まれることが預言されています。その意味において、詩48篇8節に「私たちは、聞いたとおりを、そのまま見た。万軍の主の都、われらの神の都で。神は都を、とこしえに堅く建てられる。」とあるのは、きわめて預言的といえます。
- 「堅く建てられる」と訳されたクーン(כּוּן)は礼拝用語としても使われています。その場合には「私の心はゆるぎません、定まりました」というふうに、堅固、確固とした神への誓いのイメージですが、恩寵用語として使われる場合には、神がしっかりと守り、神が堅く建てて確立するといったイメージです。シオン賛歌の一つ、詩篇87篇5節にも48篇8節と同様、「いと高き方ご自身が、シオンを堅くお建てになる」とあります。
- 「シオン賛歌」の詩篇は、神にあるすべてのもののルーツを示唆する意味で重要です。というのは、神の選びの民であるユダヤ人とすべての異邦の国のクリスチャン(ちなみに、聖書ではユダヤ人と異邦人という二つのことばで全世界の民を表現しています)たちの霊的存在のルーツと密接な関係を持っています。
- シオン、エルサレムは神の救いの計画において中心的な場所であり、世界の中でも最も重要な場所です。なぜなら、キリストは「王の王、主の主」として再臨されるからです。キリストの再臨後には、世界中の神の民が主を礼拝するためにエルサレムへと上り、共に主を祝うようになります。ですから、12, 13節ではシオンを訪れた者に対して、そのシオンのもつ歴史的、あるいは救済的意味を後の時代に語り伝えよと命じています。