作者の一番言いたいことは何かを考えてみる
14. 作者の一番言いたいことは何かを考える
- 人が自分の語ったことに共感してくれるとき、友を得たように思います。しかし、その共感も実は枝葉末節のところで共感してくれているだけで、自分が本当に伝えたかったことに共感してはいないことを知ったとき、淋しくなります。
- 今日、イージー・リスニングということで、ある曲の一部分、それもきれいな旋律とか、心地よいものだけを集めたものが売られています。それもクラシックの交響曲とか協奏曲のある一楽章であったりする場合が多いようです。もし、その曲の作曲家が生きていれば複雑な思いをすることでしょう。他の楽章と合わせて聞くときに、それぞれの楽章の特徴が生かされるように作られているからです。そうした傾向は、イージー・リスニングの世界だけでなく、いろいろな宗教から良いところだけを寄せ集めて、ひとつの宗教を造り上げている世界もあります。それはいかがなものかと思います。
- 詩篇を読むとき、その作者が一番言いたかったことはなんだろう、どこが一番言いたいことだろうかと考えながら読むことが大切だと信じます。もしそこに共感できるなら、時代を超えた連帯感を経験することができるからです。そして、そこにふれるとき、私ははかり知れない喜びを感じます。詩篇の作者との共感を通して、詩篇瞑想の醍醐味を味わいたいものです。