****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

主のさばきは主の聖所から

文字サイズ:

9. 主のさばきは主の聖所から

【聖書箇所】 9章1節~11節

ベレーシート 

  • 8章で偶像礼拝の四つの場面を見せられたエゼキエルは、これらの罪深い行為がもたらす避けることのできない主のさばきがなされるのを知らされただけでく、そのさばきが実行に移されました。エゼキエルの必死のとりなしが聞き入られる猶予はありませんでした。もはや主のさばきを中断することはだれにもできなかったのです。
  • 10節に「わたしは彼らの頭上に彼らの行いを返す」という表現があります。これはユダの家の者たちがした行い(歩み)に従って報いるという意味です。ユダの家が神殿で行った忌み嫌うべき行為に対する報いが神殿の北側からやって来ました。
  • 9章での瞑想のポイントは、神のさばきの執行者が御使いたちであったこと。そしてそのさばきから守られる者たちには額にしるしがつけられたことを思い巡らしたいと思います。

1. 神のさばきを代行した御使いたち

神のさばきの代行者としての御使い.PNG
  • エルサレムを破壊する武器を手にもった6人が、北に面する上の門を通ってやって来ました。そしてもう1人、亜麻布の衣を着、腰に書記の筆入れをつけた者がいました。おそらくこの者が全体のリーダーかもしれれません。なぜなら、神のさばきが執行された後で、神に「あなたが私に命じたとおりに私は行ないました」と報告しているからです(11節)。これらの6人の武器をもった男たちともう1人の人(合わせて「7」という完全数になります)は、神のさばきを代行した御使いたちであったと考えられます。
  • エルサレムの町が破壊した者たちは、ネブカデネザルの率いる軍隊でしたが、エゼキエル書では、そこに御使いたちの存在がいることを教えてくれています。聖書の中には神のさばきの代行者としての御使いの存在とその働きの記述が多く見られます。この世の目に見える世界の現実と目には見えない霊的な世界の現実が重なっています。むしろ、目に見えない世界が目に見える世界の背後にあるということです。したがって、目に見えるバビロンの軍勢によるエルサレムの陥落の背後に神に仕える御使いたちがいることを忘れてはなりません。つまり、この世の政治的な力の背景に神に仕える御使いたちの存在がいるという事実です。
  • 新約のヘブル人の手紙1章7節に「神は、御使いたちを風とし、仕える者たちを炎とされる」とあります。ここでは天の軍勢を神のさばきの執行者として述べています。「炎」とは神のさばきがいかに恐ろしいものであるか、神の決定を遂行する御使いの力の大きさを示唆しています。
  • 御使いが神のさばきの代行者であることを示す例としては、以下のような箇所があります(ここでは旧約のみ)。
    (1) 「ソドムとゴモラに対するさばき」(創世記18章)
    (2) 「エジプトの初子が死ぬというさばき」(出エジプト12章)
    (3) 「エルサレムを包囲したアッシリヤの軍隊に対するさばき」(Ⅱ列王記19章)
    (4) 「民の数を数えたダビデの罪によってもたらされたさばき」(Ⅰ歴代誌21章、Ⅱサムエル24章)

2. 額につけられた「しるし」

  • 亜麻布の衣を着、腰に書記の筆入れをつけた御使いの務めは、偶像礼拝を悲しみ、正しく生きることを求めた人々の額に「しるし」をつけることでした。この「しるし」をつけられた者はさばきを免れることができました。この「しるし」が額についている者だけが、さばかれる多くの者から区別され、かつ守られたのです。
画像の説明
  • 「しるし」と訳されたヘブル語は「ターヴ」(תָּו)で「符号」を意味します。旧約では3回しか使われていません(ヨブ31:35/エゼキエル9:4, 6)。動詞の「しるしをつける」は「ターヴァ―」(תָּוָה)で、いずれもエゼキエル9章4節にあります。額につけられた「しるし」はおそらく古代ヘブル文字の「×」、あるいは、「+」という符号であったかもしれません。
  • なぜ「ターヴ」だったのかということについてはいくつかの説があるようですが、以下の二つの理由が自然と思えます。
    (1) 「ダーヴ」はアルファベットの最後の文字であることから、最後まで神に対して献身的な信仰生活を送っていたことを示す。
    (2) 「ダーヴ」は「トーラー」(תוֹרָה)の頭文字であることから、律法に従って歩む者であることを示す。
  • 上記の解釈は、以下の箇所に見られる「しるしの思想」とも関係しています。いずれも「保護としてのしるし」「救いの保証としてのしるし」ですが、旧約の場合、「しるし」のヘブル語は「オート」(אוֹת)が使われています。
    (1) カインにつけられた一つのしるし(創世記4:15)
    (2) 門のかもいに塗られた小羊の血のおおい(出エジプト12:22)
    (3) 主が命じられたことばを「しるしとして手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい」ということ(申命記6:8)
    (4) 神のしもべたちの額に押された印(ヨハネの黙示録7:3)
    (5) 額にしるしのない者だけがさばきを受ける(ヨハネの黙示録9:4)
    (6) 究極の救いにおいて神の御顔を仰ぎ見る者たちの額にしるされている神の名(ヨハネの黙示録22:4)




ヘブル語ノアルファベットの形は「方形文字」と呼ばれています。「古代ヘブライ文字」から「方形文字」への変化は、ユダヤ人がバビロンに流刑にされていた期間に生じたものと考えられています。あるユダヤ教の伝承によれば、このヘブル語のこの「新しい書体」(方形文字)は,エズラ(旧約聖書の「歴代第一」「歴代第二」「エズラ記」の筆者)が「紀元前430年頃」に導入したと伝えています。エゼキエルが活躍した時代はエズラが登場するよりも140年ほど前です。

2013.5.11


a:8723 t:1 y:1

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional