****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

ユダヤ人の思考のパラダイムを理解すること

34. ユダヤ人の思考のパラダイムを理解する

  • ある時代、民族、社会において、長い期間かかって培われた物事を認識する基本的態度、ものごとの見方、考え方、解釈の枠組みを包括的に表わす用語として「パラダイム」があります。民族的レベルにおいても、個人レベルにおいても、パラダイムは形成されます。
  • たとえば、個人レベルで、私たちが受ける拒絶(家族・学校・社会全般で経験する拒絶)に対する防衛的反応がひとつのパラダイムを形成します。 防衛的反応には三つあります。
  • 第一の反応は、勝ち残る戦いを通して受け入れられようとする反応です。競争に勝つこと、あるいは人を出し抜くことによって、自分自身が重要な人物となって受け入れされようとする態度です。しかし、結果的にはさらに大きな拒絶を招きます。
  • 第二の反応は、拒絶を受け入れてしまう姿勢です。自分は拒絶されて当然、愛される価値など自分にはないと思う態度です。人から拒絶される前に自分から相手を拒絶するのもこのタイプです。自分自身を拒絶することで、他の人からも拒絶されることになります。
  • 第三の反応は、拒絶に対して反抗する態度です。このタイプは、人に対して嫌悪感をもたらすような言動をします。しかしこれもまた多くの拒絶を引き起こす結果となります。このように拒絶に対する防衛的な反応によっては、かえって拒絶を受けてしまう、これが「拒絶の構造」です。
  • 詩篇には「嘆きの歌」が多いのですが、神の民であるイスラエル(ユダヤ人)が、長期間(400年間)にわたる異邦人による抑圧・軽蔑、さげすみの中で彼らが民族的にどのように反応し、彼らのパラダイムが形成されていくかは興味深いところです。そして共感し得るところが数多くあります。特に、バビロン捕囚以降、彼らはペルシアやギリシャ、ローマの国によって支配され、抑圧され、辱めの経験をしました。彼らがそうした歴史の中で自分たちのアイデンティティの危機感を強めながらパラダイムが形成していきます(注※)。このあたりの時代を中間時代(暗黒時代)と呼んでいます。歴史の流れは複雑ですが、その中で神の民の中にどのようなパラダイムが形成されていくかを学ぶことはとても重要だと信じます。なぜなら、詩篇の多くがその中で書かれていったからです。
  • (注※拙者の「ルカの福音書」をぜひご参照ください。)
  • ひとたび築かれたパラダイムをシフト(転換)することは決して容易ではありません。それは自分たちを守る塞のようなものです。そのことを示す出来事が、メシアとしてイエスがこの世に来られた時に、彼を十字架につけるということによって明白にされました。異邦人によって拒絶を経験した民は、神の名の下に異邦人を拒絶し、そして神をも拒絶したのです。詩44篇はそうした「拒絶の構造」の萌芽を見ることができるように思います。

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