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モーセ五書、および旧約における位置付けと危機的性格

4. モーセ五書、および旧約における申命記の位置づけと危機的性格

(1) 申命記の位置づけ

  • 申命記はモーセ五書の最後に位置し、出エジプト後の歴史を回顧すると同時に、ヨルダン渡渉後の生活を展望することにより、ヨシュア記以下の歴史書の橋渡しをなす重要な位置を占めている。歴史書、および預言書はすべて申命記における契約の視点から解釈し見直されている。過去における神の真実を無視する者は、未来をも見据えることはできない。神の民が自立するための回顧と展望、これこそ聖書が示す基本的姿勢である。

(2) 申命記の危機的性格

  • 申命記は新しい局面を迎えようとする<危機的性格>を持って書かれた書である。次の四つの面において・・

①新しい世代・・古い世代はカレブとヨシュアとモーセを除いてすべて死に、新しい世代へ 移行。

②新しい地・・・荒野での放浪生活は終わり、約束の地カナンを占領しようとしていた。

③新しい経験・・移動生活から定住生活へ。荒野でのマナからカナンの地の産物へ。

④新しい啓示・・申命記にはきわめて特徴的な動詞がある。それは「愛する」という動詞である。モーセ五書では申命記の特愛用語である。申命記ではこの特別な愛の啓示が23回出てくる。その中には神がイスラエルに対するもの(A)が8回、民が神に対するもの(B)が12回。それ以外としては、21:15/21:15/21:16の3回。

  • (A)は、4:37/7:8/7:13/10:15/10:18/15:16/23:5/30:4。
  • (B)は、5:10/6:5/7:9/10:12/10:19/11:1/11:13/11:22/13:3/19:9/30:16/30:20。
  • (A)の中から・・・

    「主は、あなたの先祖たちを愛して、その後の子孫を選んでおられたので、・・・」(4章37節) 
    「主があなたがたを恋い慕って、あなたがたを選ばれたのは、あなたがたがどの民よりも数が多かったからではない。・・しかし主があなたがたを愛されたから・あなたを贖い出された」(7章7~8節) 
    「主は、ただあなたの先祖たちを恋い慕って、彼らを愛された。そのため彼らの後の子孫、あなたがたを、すべての国々のうちから選ばれた。」(10章15節)
    「あなたの神、主は、あなたのために、のろいを祝福に変えられた。・・主はあなたを愛しておられるからである。」(23章5節) 

「愛する」、「選ぶ」、「恋い慕う」・・この三つのことばは、神の選びの愛を表わす申命記における特徴的な語彙である。


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