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エレミヤの労苦と苦悩

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23. エレミヤの労苦と苦悩

【聖書箇所】 20章1節~18節

ベレーシート

  • 20章にはエレミヤが、祭司であり、主の宮のつかさであり、監督者であるパシュフルによって、主の宮の門にある足かせにつながれるという出来事と預言者としてのエレミヤの労苦と苦悩(悲嘆)が吐露されています。これはエレミヤが真の預言者であるゆえに体験し得た空しさと失望の痛ましい苦しみです。

1. 「バビロン」という言葉の登場

  • エレミヤが召された時には、やがて「北から」という表現で、わざわいがエルサレムの全住民に及ぶことが示されていましたが、その「北から」というのが「バビロン」という固有名詞で記されるようになります。20章では4回使われていますが、その後の章ではなんと165回も「バビロン」という言葉が登場します。エレミヤ書における「バビロン」の語彙の使用頻度はダントツです。預言書ではイザヤ書が13回、エゼキエル書が20回、ダニエル書が17回、ミカ書に1回、ゼカリヤ書に2回、マラキ書に6回で、他は0回です。それほどにエレミヤとバビロンの関係は深いのです。「エレミヤ」と「バビロン捕囚」は同義と言えるほどです。
  • ちなみに、「バビロン」という固有名詞は、ヘブル語で「バーヴェル」(בָּבֶל)です。岩波訳、関根訳は「バビロン」と表記せず、「バベル」としています。バビロンの歴史は長く、創世記10章10節には地上での最初の権力者ニムロデが支配した町として登場します。また、創世記11章では神に敵意して、自分たちの名を高く上げるために天に届く高い塔を建てたその町が「バベル」でした。その「バベル」(バビロン)の王の支配のもとに神はユダの民たちを捕らえ移し、エルサレムのすべての富や宝を渡したのです。

2. エレミヤの労苦と苦悩 

【新改訳改訂3】 エレミヤ書20章18節 
なぜ、私は労苦と苦悩に会うために胎を出たのか。私の一生は恥のうちに終わるのか。
【口語訳】
なにゆえにわたしは胎内を出てきて、悩みと悲しみに会い、恥を受けて一生を過ごすのか。
【新共同訳】
なぜ、わたしは母の胎から出て労苦と嘆きに遭い/生涯を恥の中に終わらねばならないのか。
【岩波訳】
一体なぜ、私は胎を出て来たのか。労苦と悲哀に会い、恥のうちに私の日々が終わらなければならないのに。

  • 「なぜ、自分は生まれて来たのか」という強烈な問いかけです。いやむしろ、「母はなぜ私を産んだのか。私など生まれて来ない方がましだった」とエレミヤは自分の誕生を呪っています(14節)。「なぜ」「なにゆえに」の「ラーマ―」(למָּה)は詩篇の嘆きの歌の重要な用語です。おそらくこのとき、エレミヤが自分の語るメッセージが将来もたらす結果をまだ見えていなかったからだろうと思います。自分のしていることが誰にも理解されず、「滅び」という非生産的なメッセージであるゆえに、むしろ誰からも受け入れられず、すべてが骨折り損に思えたと思います。「労苦」(新改訳)と訳されたヘブル語は「アーマール」(עָמָל)で、「悩み」「骨折り」とも訳せます。同じく「アーマール」でも、イザヤ書の第四のしもべの歌に登場するしもべ(イエス・キリスト)のそれは異なります。「彼は、自分のいのちの激しい苦しみ(עָמָל)のあとを見て、満足する」(53:11)とあるからです。「満足する」ことができたのは、主のみこころは彼によって成し遂げられることを知っていたからです。それが激しい苦しみを乗り越えさせる力となりました。しかし、エレミヤの場合はまだその域には達してはいなかったようです。

3. 預言者職の不思議さ

  • 敵による迫害に対して神はエレミヤを完璧に守りました。ですから、敵はエレミヤに対して勝つことはできませんでした。しかし、エレミヤが訴える苦しみに対しては、神はただ沈黙されました。エレミヤは自分のことを「貧しい者」(「エヴヨーン」אֶבְיוֹן)であることを自覚しています。自分の語ることが、物笑いとなり、そしりとなり、あざけりとなりました。それにとどまらないむき出しの憎悪に対して、エレミヤは「もうやってられない!」という思いに駆られたのです。ですから、エレミヤは「主のことばを伝えまい。もう主の名で語るまい。」と本気で思ったのです。ところが、です。

【新改訳改訂第3版】エレミヤ書 20章9節
主のみことばは私の心のうちで、骨の中に閉じ込められて燃えさかる火のようになり、私はうちにしまっておくのに疲れて耐えられません。

【新共同訳】
主の言葉は、わたしの心の中/骨の中に閉じ込められて/火のように燃え上がります。押さえつけておこうとして/わたしは疲れ果てました。わたしの負けです。

  • ここに預言者として召された者の不思議さがあります。

2013.2.23


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