****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

エリコの攻略と陥落

6. エリコの攻略と陥落

【聖書箇所】 6章1節~27節

はじめに

  • ヨルダン川を渡ったイスラエルの民は再度、割礼と過越によって神とのかかわりを刷新されたのち、最初に占領するのは難攻不落の町エリコでした。ヨシュアの前に立ちはだかった「抜き身の剣をもった種の軍の将」の顕現により、この戦いが主のものであることを示されました。これからの戦いにおける占領すべき町とその戦い方もすべて主からの指示によってなされていきます。
  • 主は戦う前からすでにイスラエルの民に与えた(完了形)地を、いわばイスラエルの民は自分のものとしていくという戦いです。「聖絶」という思想は、戦いによって得られたものはすべて神のものとしてささげられるという礼拝的行為でした。

1. 弱さを覆う目に見える町の堅固さ

  • 6章1節に「エリコは、イスラエル人の前に、城門を堅く閉ざして、だれひとり出入りする者がなかった」とあります。「城門を堅く閉ざす」という表現は、「閉ざす」という動詞「サーガル」(סָגַר)とその強意形受動態(プアル)の二つが重ねられています。それゆえ誰ひとりとして出入りする者がいませんでした。完全なセキュリテイー体制が整えられていたのです。しかしどんなに上目には完全なセキュリティがあっても神の前にはすでにそれが打ち破られていたのです。この事実を信仰をもって受け止めるかどうかが重要です。目に見える現実だけで判断してはならないのです。
  • 主は「その町をヨシュアの手に渡した」と宣言されました。目には完全な防護体制が敷かれ、町に攻め入ることができない状況であったとしても、すでに主はその町を「与えた」ので、あなたがたはそこを占領せよと言われたのです。ヨシュアのテーマは信仰による勝利、信仰によって神の賜物としての土地を自分のものとしていく戦いです。
  • イスラエルの第一世代の民たちは、カナンの地を偵察して、目に見えるもので判断し、カレブやヨシュアのように主の約束を紳士せることができずに、約束の地を自分たちのものにすることなく死んでしまいました。しかし今や再度、信仰によって神が与えてくださったものを占領する最初の戦いがなされようとしていたのです。

2. 奇妙な戦い方から学ぶこと

  • 主が指示する戦い方はすべてが奇妙なものばかりです。特に「七」という数字が目立ちます。町の周囲を七日回ること、七日目には七度回る、七人の祭司、七つの角笛です。おそらく最後の日は安息日と考えられます。つまりこの戦いは宗教的戦いであることを示唆しています。「聖絶」行為もすべて神へのささげものとして位置づけられています。
  • ところで、戦い方の中で私が特に興味を引くのは「沈黙」ということです。10節には「私がときの声をあげよと言って、あなたがたに叫ばせる日まで、あなたがたは叫んではいけない。あなたがたの声を聞かせてはいけない。また口からことばを出してはいけない。」と主は命じています。
  • 七日間の沈黙です。これが意味することはなにか。信仰の戦いにおいては必ずしも感情的興奮や威勢や鼓舞は必要ではないということです。戦いの意識を高める意図的な決起大会も不要です。むしろ逆に独りひとりに対して沈黙、静まり、冷静沈着さが求められています。
  • 今日、キリスト教会には霊性の回復が求められています。しかしその回復には信仰を鼓舞させるようなイベントは不要です。むしろ主の前に静まることが求められます。イザヤ書30章にこうあります。

    新改訳改訂第3版 
    30:15 神である主、イスラエルの聖なる方は、こう仰せられる。「立ち返って静かにすれば、あなたがたは救われ、落ち着いて、信頼すれば、あなたがたは力を得る。」

  • 静まりの中で主を信頼することには修練を必要とします。なぜなら、自分の心の中に起こってくる不安や恐れに支配され、心が簡単に支配されてしまうからです。口は小さな器官ですが、私たちの心だけでなく、周囲の者たちにも影響を与える器官です。それゆえ現代の預言のバシレア・シュリンク女史は「おしゃべりは罪だ」と明言しています。不信仰を呼び込む口を慎みながら、沈黙の中で、主の語られたことばを信頼することを培う必要があるのです。その完璧なモデルは神の御子イェシュアです。この方が抜身の剣をもった姿で現われ、ヨシュアにエリコの戦いに備えさせました。神の前に「静まることは力」なのです。

2012.3.17


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