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あなたのみおしえは、私の喜び

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19. あなたのみおしえは、私の喜び

【聖書箇所】 詩篇119章77節

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【読み】
「イェヴォウーニ ラハメーハー ヴェエフイェ キー トラテーハー シャァシュイ」

【文法】
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【翻訳】

【新改訳改訂3】
私にあなたのあわれみを臨ませ、私を生かしてください。あなたのみおしえが私の喜びだからです。
【口語訳】
あなたのあわれみをわたしに臨ませ、わたしを生かしてください。あなたのおきてはわが喜びだからです。
【新共同訳】
御憐れみがわたしに届き/命を得させてくださいますように。あなたの律法はわたしの楽しみです。
【NKJV】
Let Your tender mercies come to me, that I may live; For Your law is my delight.

【瞑想】

「私の喜び」(新改訳)、「わたしの楽しみ」(新共同訳)と訳されている原語は名詞の「シャアシュイーム」שָׁעֲשֻׁעִים、あるいはשַׁעֲשׁוּעִיםとも表記されます。詩篇では119篇にしかない名詞で、24, 77, 92, 143, 174節の5回です。動詞の「シャーア」שָׁעַעも、詩篇では94篇19節以外はすべて119篇です(16, 47, 70節)。つまり、詩119篇の作者は神のみおしえ、つまりトーラーの中に「喜び」を見出したことを物語っています。とすれば、この動詞も名詞もバビロン捕囚時に生まれた言葉と言えます。かつては神の民がトーラーに対してこのような喜びを見出し得た者はいませんでした。しかし今やバビロン捕囚という苦しみを経験したことを通して、神を真剣に尋ね求めるようになり、その結果として得た貴重な宝としての喜びです。その宝の中には神の愛、恵み、真実といったものすごい宝に手にしていることを作者は日々感じているのです。

日本語では「喜び」とも、「楽しみ」(新共同訳、岩波訳)とも訳されていますが、英語ではほとんどがdelightと訳されています。旧約で「喜び」を表わす一般的な動詞としてサーマハשָׂמַחがあります(詩119篇では74節)。英語ではrejoiceと訳されます。しかし「シャーアー」שָׁעַעはdelightと訳されます。rejoiceとdelightの違いは何なのでしょうか。

前者のrejoiceは、ある特別なこととしての喜びを表わすのに対し、後者のdelightは、日常的・継続的な楽しみ、気晴らし、遊びの感覚、趣味に興じる意味合いをもったことばのようです。人は楽しいことをしているときには、時間を忘れ、疲れを感じません。むしろ、より創造的なものをたえず生み出していきます。

動詞の「シャアシュイーム」שָׁעֲשֻׁעִיםも、名詞の「シャーア」שָׁעַעも詩篇119篇の特愛用語です。詩篇119篇そのものが、ある意味でことば遊びをしているわけで、誤解を恐れずに言うならば、そこにはまさに神にある究極の「遊び」の世界があるのかもしれません。当為から意欲へ、意欲から遊びの領域へと発展させ、独自のライフスタイルを築いています。

人生には二通りの生き方があります。ひとつは「しなければならないからする」という生き方であり、もうひとつは「自分がしたいからする」という生き方です。前者には「かせ」があります。それを「義務とか責任とかきまり」と言います。しかし後者は「かせ」がありません。自由です。自由があるところには意欲があります。この二つは、本来、結びつきません。したいことだけをしている、とすれば、様々なかかわりは崩れるでしょう。かかわりを円滑にするためには、「しなければならないことをする」ということを避けられません。しかし、いつまでもそこにとどまっているならば、やがて辛くなり、喜びもなく、生きる気力さえ失ってしまいます。ですから、「しなければならないこと」が、「したいこと」と結びつくような道を探求しなければなりません。両立し得る知恵を求めなければなりません。

自発的な意欲なしには「喜び」は成り立ちません。この「喜び」は御子イエスがもっておられたものであり、みことばの回復はこの喜びと決して無関係ではありません。この喜びが主にある私たちひとり一人にも与えられるように祈らなければなりません。

【付記】
「あなたのみおしえは、私の喜び」⇒楽譜

2013.3.5


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