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「何げなく」放たれた矢

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42. 「何げなく」放たれた矢

【聖書箇所】Ⅱ歴代誌 18章1節~34節

ベレーシート

  • 1節で、ヨシャパテは主の祝福を与えられて富と誉れとが豊かに与えられたこと、アハブと縁を結んだことが記されています。新共同訳では接続詞(ו)を「~とともに」と並列的に訳し、新改訳では「~が、」と逆説的に訳しています。そのことによってこの二つの事柄の関係性をどのように解釈しているかを示しています。前者の訳では、ヨシャパテは「富と誉れが豊かに与えられることによって、北イスラエルとの協調時代をもたらした」と解釈できます。しかし、後者の訳では「富と誉れが豊かに与えられることによって、北イスラエルと縁を結び、それが思わぬ誤算を招いた」とも解釈できます。私見では、ヨシャパテがよかれと思って北イスラエルとの協調関係を結んだことが、釣り合わぬくびきを負うことになり、ヨシャパテの思いを不可能にする不可避的な誤算を招いたと解釈しています。
  • ヨシャパテの一つの政策として、それまで対立していた北イスラエルとの国交を回復して、新たな「協調時代」をもたらそうとしたことは、賞賛に値すべきことです。しかし、彼の思いを越えた不可抗力的な事態へと展開していきました。その影響はヨシャパテの時代ではなく、彼の息子ヨラムの時代になってから吹き出します。

1. ラモテ・ギルアデを攻める事件

画像の説明
  • 北イスラエルの王アハブのところに、南ユダの王ヨシャパテがサマリヤを訪問したときの話です。アハブはヨシャパテにラモテ・ギルアデの参戦を要請します。すでに縁を結んでいたヨシャパテは「あなたとともに戦いに臨みましょう」と了承します。ただし、ヨシャパテはアハブに「まず、主のことばを伺ってみてください。」と申請します。そこでアハブは四百人の預言者を集めて、この戦いの是非を伺せました。すると、預言者たちはこぞって「上って行きなさい。そうすれば、神は王の手にこれを渡されます。」と一致した見解を伝えました。ヨシャパテはこのことに疑念を抱きました。なぜなら、預言者たちは「は」と答えたからです。ヨシャパテが尋ねたのは「のことば」だったからです。そこで、ヨシャパテは「ここには、私たちがみこころを求める主の預言者がほかにはいないのですか」と質問します。そこで、アハズは「いや、ほかにもうひとり、のみこころを求めることのできる者がいます。」と答えますが、その預言者はアハズに対していつも良いことを預言しないために、アハズは彼を憎んでいたのでした。

2. 主のみこころを伺うことのできる唯一の預言者「ミカヤ」の登場

  • 案の定、主のみこころを求めることのできる預言者ミカヤ(原文では「ミーハーイェフー」מִיכָיְהוּ)がアハズのもとに呼び寄せられました。結論から言うと、ミカヤはアハズに下るわざわいを告げたのです。怒ったアハズはこのミカヤを獄屋に入れ、自分が戦いから無事に戻って来るまで、わずかなパンと水をあてがうように命じました。それに対して、ミカヤはアハズにこう答えました。「万が一、あなたが無事に戻って来られることがあるなら、主は私によって語られなかったのです。」と。こうして、戦いがはじまったのでした。

3. ひとりの兵士が何げなく放った矢によって死んだアハズ

  • ここで、「何げなく」という表現に注目してみたいと思います。この「何げなく」は、いかにも偶然的な行為のように理解されます。「たまたま」放った矢がアハズの「胸当て」と「草摺」の間を射抜き、それが命取りとなったようです。ところが、この「何げなく」と訳された原語を調べるならば、偶然どころではない、主の絶妙なタイミングで射抜かれたことを意味する表現なのです。
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  • 何げなく」と訳された原語は「レットゥモー」(לְתֻּמּוֹ)です。これは前置詞の「レ」(לְ)と名詞「トーム」(תֹּם)からなっている語彙です。前置詞を外して、「トーム」を語根とする周辺の語彙を見ると次のようなことが分かります。

(1)「タンマー」(תַּמָּה)、そこに
(2)「ターマー」(תָּמָה) 驚く、驚くべき
(3)「テマー」(תְּמַהּ) 奇蹟
(4)「ターミーム」(תָּמִּים) 完全に、正しく、公平に
(5)「ターマム」(תָּמַם) 終わらせる、完成する

※語根(親ルート)と子ルートのついた周辺の語を考え合わせると、
何げなく」と訳された原文には、決して、偶然的なことではなく、むしろ、「そこに、驚くべき、奇蹟ともいうべき神の完璧な出来事を終わらせる」と言った意味が隠されているということが理解できるのです。


2014.3.26


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