「ユダヤ教はエズラに始まる」
エズラ記の瞑想の目次
第二のモーセとされたエズラ
- ペルシヤがバビロンを滅ぼしたことにより、バビロン捕囚から帰還したイスラエルの民を指導した人物のなかで最も重要なのは、エズラとネヘミヤです。エズラは優れた宗教的指導者として、ネヘミヤは有能な政治家として帰還した民を導きました。
- エズラは「祭司にして天の神の律法学者」と呼ばれています(エズラ記7:12, 21)。ここでの「律法学者」(アラム語でサーファル)は、おそらくユダヤ人の宗教を担当するペルシヤ帝国の高級官吏を指しますが、この語に相当するヘブル語ソーフェールは「聖書に通じた学者」の意味に用いられるようになります。新約聖書に出てくる律法学者がそれです。すでにエズラのころからイスラエルの宗教は、律法の学びに力がおかれるようになっていました。「神を求める敬虔」の意で用いられてきたヘブル語動詞のダーラシュ(歴代誌上22:19、エズラ6:21)が「神の教えや学びや研究」の意味で用いられるようになりました。
- エズラはヤーウェの律法(トーラー)を学んで(ダーラシュ)、これを実践し、イスラエルで法と定めを教えようと決意し」(エズラ7:10)ました。実際、ユダヤ教にとって聖書の学びは、多様にして複雑なこの世界で、生きながら神ヤーウェに対し、健全でバランスの取れた信仰を守るために重要な中心的事柄なのです。
- 聖書の言葉や伝承をめぐって多くの学者たちが意見を述べ、議論する伝統は、ユダヤ教のなかに深く根を下ろし、その実はやがて「ミシュナー」(AD220頃編纂)、「タルムード」(6世紀初め編纂)というかたちでまとめられます。こうして古代イスラエルの宗教ものとしての「ユダヤ人」が誕生します。後のユダヤ教においてエズラはユダヤ教の土台を据えた人物、第二のモーセとして評価され、深く尊敬されるようになりました。それゆえ、ユダヤ教はエズラに始まると言えるのです。